39:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:33:36.38 ID:4btJ32Bz0
ライドウはゴウトの視線を受け、静かに頷く。
鶉橋は降参とばかりに右手を挙げて口を開いた。
鶉橋「噂に名高い十四代目葛葉ライドウ。
元々悪魔召喚士の才能にも恵まれず引退した身の私では戦う前から勝負は決まっているだろうね」
ゴウト「では、おとなしく要求に従うことだな」
鶉橋「私は五年程前地獄通信に関わってから、随分と地獄通信の調査と研究を進めてきていてね。
ついに地獄の力を操る術を見つけたんだ」
ゴウト「それが、動機にどうかかわっているのだ?」
鶉橋「動機とは関係ないんだけどね、その力を使えばこんなことも出来るんだよ」
言うと同時にあたりに妖気が満ち、直後に音もなく鶉橋の姿が消えた。
ライドウが掴んでいたはずの左手も消え、まるで握っていた風船が音もなく破裂したかのようにライドウの手は空をつかんだ。
直後に玄関ホール内に鶉橋が現れる。
ゴウト「瞬間移動だと!?」
ライドウはとっさに鶉橋を追うが、見えない何かにぶつかり転んでしまった。
閉じてさえいれば玄関扉のある位置、そこには白く半透明の壁のようなものがそそり立っていた。
立ち上がり、試しに手を伸ばしてみると弾かれる。
異界に時折発生する竜のアギトと呼ばれる絶対破壊不能の壁によく似ていた。
ゴウト「これは竜のアギトか? 現実世界に発生するはずが……」
鶉橋「龍のアギトとは似て非なるものだよ。
地獄の力を応用して生み出しているため、私は地獄壁と呼んでいる。
これを作るのには随分と手間がかかる上に動かすこともできないんだが、大変便利でね。
一回作ってさえしまえば私の許可したもの以外は絶対に通さない」
周囲を見回すが、見える範囲の窓など建屋の開口部すべてに同様の壁が見えた。
しばらく時間を置くと壁は見えなくなったが、改めて手を差し出すと、再び壁が現れ弾かれる。
どうやら見えなくなるだけで壁は消えないらしい。
ゴウト「見たところこの屋敷を全方位包み込んでいるようだな。
この壁を何とか破らぬ限りこやつに手出しする事はできんぞ」
鶉橋「一応説明しておくが、地獄壁は龍のアギトと同様絶対に破壊できないよ」
ライドウは試しに仲魔を召喚し、壁の破壊を試みた。
物理、銃撃、火炎、氷結、衝撃、電撃、呪殺、精神、万能あらゆる属性の攻撃を叩き込んだが地獄壁はびくともしない。
ゴウト「奴の言う通り、龍のアギト同様破壊することはできないようだな。
クソ、これでは手も足も出ないではないか」
鶉橋「フフフ、君たちに私を捕らえることも[ピーーー]こともできない。
偽地獄通信による被害を止めたければ、地獄少女を倒すことだ。
君たちにはそれしか手段は残されていない」
ゴウト「我らに地獄少女を退治させる事が貴様の望みか」
鶉橋「そうさ、地獄少女を退治する。それだけが私の望みだ。
そのためだけに、帝都の守護者たる君が地獄少女と敵対するためだけに大金を払って偽地獄通信を新聞に載せ、地獄通信による危機を煽ったんだ。
結局偽地獄通信の広告主が私だと君に暴かれてしまったが……
それならば、ばれてしまった今の状況すら利用して、君に地獄少女を退治させるだけさ。期待しているよ」
鶉橋は玄関扉を閉めた。扉越しに足音が小さくなっていくのが聞こえる。
ゴウト「……先ほどの奴の瞬間移動、地獄少女一味が消える時の様子によく似ている。
地獄の力を操るというのもハッタリでもなさそうだ。
それに加えてあの地獄壁よ。何か対策を考えねばならぬな」
ゴウトの言葉に、ライドウは不快そうに玄関扉を睨み付けた。
ゴウト「いずれにせよ、鶉橋が偽地獄通信の広告主ということが分かった。
今日はもう探偵事務所に戻るとするか」
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