過去ログ - 葛葉ライドウ対地獄少女
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8:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 21:16:38.41 ID:4btJ32Bz0
珈琲を入れる準備が整った頃、探偵事務所の扉が開き、カメラを首からぶら下げた短髪の、モダンガールと呼ぶにふさわしい女性があらわれる。
朝倉タヱ、朝倉葵鳥を自称する帝都新報所属の女性新聞記者である。
タヱ「こんにちは、ライドウ君、ついでに鳴海さん、悪いけど珈琲もらえるかししら。二つお願いね」
鳴海「あのねぇ、タヱちゃん、所長は俺。ついでにさっき電話したのも俺。
ライドウは助手、そしてここは鳴海探偵事務所。俺がついで扱いなのもおかしいし、ここはカフェーでもないの。
で、珈琲が二つってことはお連れさん?」
タヱ「あのねぇ、鳴海さん、私は帝都新報の敏腕記者、朝倉葵鳥。
葵鳥さんって呼んでくれるまで『ついで扱い』も名刺を渡すのもやめないわ。
でもさすが探偵事務所の所長さんね。正解。今日は二人できたの。入ってきていいわよ」
ライドウがテーブルに珈琲を並べ終えた直後、ゴウトが身構えた。
ゴウト「この気配……ライドウ、用心しろよ」
ゴウトが喋りだした時にはすでに、ライドウの両手はさりげなく懐の封魔管と拳銃―コルトM1877"ライトニング"に伸びていた。
探偵事務所の扉が開き、派手目の女が姿を現す。
美人と評してまず間違いないが、ライドウとゴウトには一目で悪魔であるとわかった。隠してはいるがわずかな妖気が感じられる。
ゴウト「やはり悪魔か」
派手目の女「初めまして、葵鳥先輩の後輩記者の恩田ヨネと申します。今後ともよろしくお願いします」
恩田と名乗る悪魔は挨拶を終えると流れるような仕草でゴウトの首裏をつまみあげた。
恩田「あら、可愛い猫ちゃん。……妖怪を悪魔呼ばわりするってことは悪魔召喚師の関係者だね。
敵対する気はないんだ。とりあえず気が付かなかったがことにしといてほしいね」
声低くゴウトに忠告ともお願いともつかぬことを耳打ちするとゴウトを静かに床に置いた。
ゴウトはあわててライドウに走りより身を寄せる。
ゴウトから今の恩田の発言内容を耳打ちされ、ライドウはその手を武器から離すことにした。もちろん警戒は怠らないままで。
鳴海「じゃあタヱちゃん。そっちの用事から聞こうか」
タヱ「こっちの用事からも何も、そっちの用事と同じなのよ。帝都新報の空白。
この恩田さんが気になって調べ始めたみたいなんだけど、社内でもこのことについて知っている人がいないの。
印刷にかかわる誰もが週に一度空白を作るよう指示を受けているんだけど、誰が指示を出したか追ってくうちに誰が最初に指示を出したのかが分からなくなっちゃうのよ。不思議でしょ?」
恩田「そこで葵鳥先輩に相談したところ、変わった事例専門の探偵事務所があると紹介されまして本日うかがうことになったわけです。
私、ここ最近頻発しているこの空白が誰の意図によるものか気になるんです。調査してもらえませんか?」
鳴海「なるほどねえ、俺たちが気になった空白について、偶然にも恩田さんたちも気になって調べていたってわけか」
タヱ「どうかしら、ちょっと普通じゃなくて鳴海探偵事務所向けの仕事じゃない?
もちろんこっちでも調査を続けるし情報も提供するわ。
鳴海さんもこの件に興味があるみたいだし、出来るなら共同捜査ということにしたいんだけど」
鳴海「はあ、共同捜査ってことなら報酬は……ないよね。やっぱり。
でもまあ、確かにこちらも興味があることだしね、その話乗ろうじゃないの」
鳴海がそういうとタヱはうれしそうに両手を合わせた。
タヱ「ありがとう、そう言ってくれると思ったわ。
でも、それにしても不思議よね、この空白。
私もちょっと調べてみたんだけど、この空白は帝都新報創刊当時からだいたい年に二・三回くらい不定期に載っていたの」
鳴海「あれ? 俺が確認した範囲では少なくともここ5週間は毎週載っていたぜ」
タヱ「そうなのよ、正確には九週間前から突如週刊になって、今日で十週連続掲載されているのよ」
鳴海「ふーん、なるほどねぇ。さて、共同捜査なわけだし、こちらからも情報提供を、といいたいところだけど今のところ何にも情報が……
いや、ライドウそっちは何かつかめたのか?」
ゴウトと目配せするライドウ。恩田の目的や正体が分からぬうちは手の内は見せられないとの結論に達し、特に情報はないと鳴海に告げた。
鳴海「そうか、収穫はなかったか。でもご苦労だったな、ライドウ。
というわけで、こっちは完全に手詰まりなんだ。手探りで探っていくしかないからお役に立てるかわからないぜ?」
タヱ「それでもいいわ。それじゃあ鳴海さん、何かわかったら連絡を頂戴。
他の仕事もしなくちゃならないし、私たちは失礼するわね。連絡は私宛に電話で頂戴。
こちらからも電話でいいかしら? ライドウ君おいしい珈琲をありがとう。また来るわね」
鳴海は首を縦に振ってからタヱと恩田の二人を見送りに出ていった。
ゴウト「あの恩田と名乗る悪魔、敵対する気はないと言っていたが何が目的だ?
やはりこの件、一筋縄ではいかぬかもしれんな」
ライドウは深く嘆息し二客の珈琲カップを片付けることにした。
鼻歌交じりに鳴海が戻ってくる。
鳴海「いやー、恩田さん別嬪さんだったねえ。
しかし、タヱちゃんたちもこの件を調べていたとは。帝都日報の内部の人間が捜査に協力してくれるなら百人力だな」
戻ってくるなり呟く鳴海に、本日の捜査状況と恩田が悪魔であることを報告した。
鳴海「なんだって、恩田さんが悪魔って本当なのか? いや、ライドウが言うならその通りなんだろうな。
タヱちゃんには恩田さんと一緒に行動しないように、それとなく俺から言っておくよ。
それにしても地獄通信に地獄少女か。地獄だなんて恐ろしげな単語が出てくるとは、今朝新聞の空白に気が付いた時には思いもよらなかったな。
事情を知らずに恩田さんからの依頼を受けちゃったけど、今からでも断ろうか?」
ライドウは迷わず首を横に振った。
鳴海「そうか、そうだよな。ライドウならそう言うと思ったよ。
ただ、十分に気を付けてくれよ。俺にはどうしても地獄少女というのがとてつもなく恐ろしい存在に思えてならないんだ」
ゴウト「よし、それでこそ誉れ高きライドウの名を継ぐものだ。
地獄少女が悪しきものならば、帝都守護を担った悪魔召喚士として、それが帝都に跋扈している現状を放置するわけにはいかぬ。
感謝しろ、我もこの件最後まで付き合ってやろうではないか。」


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