過去ログ - 【艦これ】「提督、榛名は……榛名は大丈夫ですよ」
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[sage]
2014/09/29(月) 03:00:06.73 ID:ZgYpFlXYO
「くっ、まさか待ち伏せされてたとはな」
日が沈んでしまえば闇に支配される海原。その海面を仰々しい装備に身を包んだ少女達が滑走する。
「どうりで道中の敵があっけなかった訳ね。連戦連勝で調子づいた私達を懐まで誘き寄せ、大軍で囲って逃げ道を塞ぎつつ叩く。なんともまあ、古典的だわ」
「その古典的に、私達はまんまとしてやられた訳だが」
「うるさいわよ、長門! 黙って走りなさい。追い付かれてしまうわ!」
海原を全速力で走る少女達の数人は衣服が損傷し、一人に至ってはその自慢の飛行甲板が破壊されている。
「比叡さん、もう私を置いていってください。せめて、囮にくらいは……!」
「幾ら赤城さんのお願いでも、それは聞けません! 私達は誰一人欠ける事なく帰るんですよ!」
「ですが、このままではいずれ……!」
比叡と言う少女の肩を借りている赤城と呼ばれた少女はそこで言葉を飲み込む。
敵の包囲を無理矢理抜けたため、ここに居る者で無傷の者は居らず、且つ全員が疲弊している。
そのうえ、大破している赤城や、そもそもの速力が低速な長門が居るこの艦隊、敵に追い付かれるのは時間の問題である事は、ここに居る皆が分かっていた。
「そうだな、追い付かれる。追い付かれてしまえば、戦闘になるのは避けられない」
「問題が、戦闘になったら私達は孤立無援の状態で、次々と到着するであろう敵主力と戦わなければいけないって事なのよ」
先ほどツインテールの少女に長門と呼ばれた少女が、赤城が飲み込んだ言葉を引き継ぐ。そして、更にその言葉をツインテールの少女が繋いだ。
状況は絶望的。しかし、今の彼女達に出来るのは懸命に走る事くらいだけである。たとえ傷ついても全員で帰る。どんなに無様でも、生にしがみつく事を諦めるな。そんな提督の教えを信じて。
「っ……! 敵の反応よ!」
索敵能力に秀でたツインテールの少女の表情に緊張が走る。
「もう追い付かれちゃったかー。思ってたより早くてキツいわー、ホント」
「いいえ、北上。反応は後ろからじゃないわ」
夜間の命をかけた逃亡のプレッシャーからか、額に浮かぶ汗を服の袖で拭いつつも北上と呼ばれた少女は、あえて普段通りの口調で弱音を吐く。その言葉に先頭を走っていた少女が頭を振って立ち止まる。
「五十鈴さん、それはもしかして……」
「ええ、榛名。どうやら伏兵みたいね。前方に熱源反応よ。そして、厄介な事に、この反応は潜水艦だと思うわ」
先頭を走る五十鈴と呼ばれた少女が立ち止まったために、全員の足が止まる。その五十鈴に駆け寄る比叡と同じ衣装に身を包んだ少女。その榛名と呼ばれた少女にやれやれと軽く肩を竦めながら五十鈴は答えた。
「よりにもよって潜水艦か。しかも今は夜と来たもんだ」
「ええ、対潜装備は誰もなし。そもそも、潜水艦に攻撃できるのが私と北上だけ」
「でも、やるしかないですよ。ここで立ち止まっていても、いずれ追い付かれて全滅です。それなら、榛名は前だけを向きます!」
悲壮な雰囲気を吹き飛ばすように、榛名は声を張り上げる。それに感化されたのか、全員の顔つきが変わった。
「そうだねー。私もまだまだやりたい事があるし、ここで沈んでなんかいられないよ!」
「榛名が気合いを入れてるのに、姉である私が腑抜ける訳にはいかないですね……!」
「……そうね。じゃ、行くわよ、皆。私と北上は潜水艦の無力化を優先。トドメを刺す必要はないわ。戦艦の皆は赤城の護衛をお願い。私達は誰も沈まないんだから!」
五十鈴の言葉と同時に再び駆け出した六人は、潜水艦が待ち受ける海峡へ突入した。
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