過去ログ - 【艦これ】「提督、榛名は……榛名は大丈夫ですよ」
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[saga]
2014/10/14(火) 16:00:20.94 ID:KgKqg9VtO
「提督なら、こちらに居ませんよ」
響さんを送った後、執務室に立ち寄った私を、秘書官が出迎える。
「……では、どちらに?」
いつもこの時間帯は、執務室にて、普通の人間である秘書官と仕事をしている筈だが。
言うまでもないが、私は提督の私生活なんて知りたくもないので、ここに居ないとなると完全に手詰まりである。
「なにやら、新しい鎮守府が出来るとかで。あの人は、そこに着任する新任提督に、鎮守府がどういうものかを説明しながら案内をしています」
つまり、この鎮守府内を歩き回っていると。言われてみれば、いつもとはちょっと雰囲気が違う気もする。空気が少し引き締まっている感じだろうか。
「そうですか、分かりました。自分の足で探してみます」
「ええ、是非そうしてください」
鎮守府の案内で、あの提督が行きそうな所は分からないが、行かなそうな所は分かる。そうなると、探す手間自体はそれほどでもないかもしれない等と頭に浮かべつつ、一礼して執務室を出ていく。
「あー、怖かった。“ヒトモドキ”は、何考えてるのか全然分からないわ」
扉が閉まる直前、そんな秘書官の声が聞こえた。
「まあ、今更……なんですけどね」
提督自身が、私達を蔑称で呼ぶ事を躊躇わない時点で、ここの鎮守府の住民が私達をどう呼ぶかなんて。
どんな重傷でも、修復材を使えば忽ち完治。そうでなくても、入渠さえしてしまえば常人を凌駕する速度で治る怪我。
そして、人智を越えた軍艦としての力。まさしく、人の形を借りているだけの化け物と相違ないだろう。
「あれ……? おかしいな、分かってた……こと、なのに……」
自分が普通の人間でない事くらい、理解はしている。だから、心にもない事を幾ら言われても、動じる必要なんてない。
ーーそう思っていたはずなのに。何故か目の前が歪んで見える。
「はは……。私も、まだ……心が弱い……ですね……」
ただでさえ仲間の死で気が滅入ってるのに、こんな要らぬ事を考えてしまえば、決壊も容易いか。脳裏に浮かぶのは、私達に想いを託して沈んだ少女。爆雷によって生じた水飛沫が収まった時、そこにはバラバラになった艤装が赤い水面で揺れていただけだった。
仲間が沈むのは、これで何度目だろうか。その度に、自分の無力さをただひたすら呪う。
「部屋に戻ろう……」
拭っても拭っても、涙は次から次へ溢れてくる。こんな状況では、報告なんて満足に出来やしない。なら、怒られるかもしれないが、気分が落ち着くまで自室に居るのが得策だろう。
「……っ」
おそらく、今の私は酷い顔になっている。他の人、特に提督にだけは絶対に見せたくない顔である。だから、私は顔を上げず、下を向きながら足早に歩く。
けれど、そんな誰にも会いたくないという願いは叶う事はなく。私は曲がり角で向こうからやってきていた人物と衝突し、数歩たたらを踏んだ後、結局勢い殺せず、崩れるようにしてその場にへたりこんだ。
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