7: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:47:57.70 ID:VWn8i3UI0
目を閉じて思い出すのは、この家に来たばかりの頃
彼女が怖くて仕方がなかったあの頃
手錠を外そうとしては怒られて、叫んで助けを求めようとしては怒られて
とにかく彼女に迷惑をかけてしまったあの頃
8: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:48:48.57 ID:VWn8i3UI0
彼女の叱り方…というより躾け方は大抵同じだ
ごめんなさいと謝るまで、ずっと首を絞める…それだけ
勿論喋れる程度には力を緩めてくれるけど、
それでも自分の命はこの人が好きなように出来るんだって思うと凄く怖くて
9: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:49:29.47 ID:VWn8i3UI0
ごめんなさいと言えば、彼女はそれまでの態度を一変させた
それまで怒りか性的な興奮かで赤くなった頬に涙を流して、手を放し
そして私を抱き締めて頭を撫でてくれた
10: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:50:18.15 ID:VWn8i3UI0
「こんなこと、本当は私もやりたくないんだよ」
「ごめんね、苦しかったよね?」
「それでも、分かってくれて嬉しいよ」
そんな風に優しい言葉を掛けてくれる
11: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:50:50.34 ID:VWn8i3UI0
彼女の温かい体が、正常な思考を私から奪って
彼女の優しい声が、異常な思考を私に吹き込んで
いつからだろうか、その瞬間を待ち望んでいる私がいた
12: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:51:38.60 ID:VWn8i3UI0
飴と鞭…とはよく言うが、彼女がそれを自覚して使い分けているとしたら
動物を躾けるトレーナーなんかが向いてるんじゃないだろうか
…実際に、誘拐犯の帰りを待つ忠犬をつくったわけだし
13: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:52:16.04 ID:VWn8i3UI0
異常なことは分かってる
正常じゃないことは分かってる
それでも、彼女に褒められることの喜びを知ってしまったから
それでも、彼女に叱られることの悲しみを知ってしまったから
14: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:52:59.90 ID:VWn8i3UI0
私はこうして、彼女の可愛いペットでいるのだ
15: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:53:48.33 ID:VWn8i3UI0
ガチャ、と扉が開いた
帰ってきた!彼女に飛び掛る私と、目を丸くしている彼女
こんな表情の彼女を見るのは初めてかもしれない
私がこの家で見たのは、優しい笑顔と悲しそうな泣き顔と、妖しく私を見つめる顔だけだから
16: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:54:41.05 ID:VWn8i3UI0
「…待っててくれたの?」
「うん!おかえり、希ちゃん」
17: ◆cp6i/ggttw[saga]
2014/09/30(火) 03:55:20.75 ID:VWn8i3UI0
「首の跡、残っちゃったね」
「ん…」
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