26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 01:35:16.10 ID:Cg4Jauiu0
「矢部君……それ、どういうことかな?」
一体全体、可憐なその外見のどこからそんなドスの利いた声を出せるのだろう。
矢部がそんな疑問を抱かずにはおれないほどの声音であおいが問うた。
「適当なこと言ってたら承知しませんよ」
威圧感の特殊能力がついてるんじゃないかと錯覚するほどのオーラを出しながらみずきが続く。
ここにきて矢部は見たままをありのまま伝えようと考えた自分の失策に気が付いた。が、時すでに遅し。
じりじりと、キャットハンズの誇る美少女プレーヤー二人が矢部の発言の真意を解くために迫りくる。
傍から見れば羨ましい光景であるのかもしれない。だが矢部が抱いた感情は恐怖であった。チビりそう。
「お、お、おお、落ち着くでやんすよ二人とも……」
「落ち着いてるよ? ボクはいっつも冷静だよ?」
「短気持ちのあおいちゃんが言っても説得力が」
「え?」
矢部はひれ伏した。
「……で、矢部先輩。小波先輩が女子高生とデートしてたっていうのは本当なんですか?」
「は、はいでやんす……たまたま街で小波君を見かけたから声をかけようと思ったら、制服姿の女の子と手をつな――はっ!?」
「手を……?」
「つな……?」
矢部昭雄、またも痛恨のエラー。
矢部は内心で叫んだ。これは痛い。目の前の女子二人が孕んだ怒気といったら、並の男なら気絶しそうな勢いだ。
「……みずき、練習は切り上げよう!」
「はい、あおい先輩! 行きましょう!」
それでいいのか、と矢部に問うだけの気力は残されていなかった。
なにより矢部は、これでも高校時代の小波とあおいを最も近くで見てきた人間である。
彼らには幸せになってもらいたいと矢部なりに考えているからこそ、目にしてしまった衝撃的なシーンをあおいたちに伝えたわけで。
「……あ、オイラも行くでやんす! 案内するでやんす!」
……とはいえ、結局のところ野次馬根性も半分以上は混じっているのだが。
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