過去ログ - 早川あおいちゃんスレ
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298:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/01(土) 21:00:05.85 ID:YXla5/rI0
【プレイングマネージャールート】

少し自惚れじみたことを言うけれど、私が球界を引退したのと時を同じくして、プロ野球人気は落ち込んできたように思う。
猪狩進くんや、やんきーズの番堂さんのメジャー行きが重なっていたのもあるから、私の引退だけが全てというわけじゃないけれど。
それでも、小波くんと一緒にキャットハンズでプレーしていたあの頃に比べれば、確かにプロ野球への熱狂は鳴りを潜めつつあった。

「……やっぱり、小波くんが怪我したのが大きいのかな」

私と一緒にプレーした最終年、小波くんはキャットハンズを日本一に導いて、かつ三冠王のタイトルを獲得した。
でも、ミスターキャットハンズだけじゃなく球界を代表する名選手としてより一層の活躍を期待された小波くんは、その年のオフに『また』トラックに轢かれたのだ。
これで人生三度目だねと小波くんはあっけらかんと笑っていたけれど、ここまで来ると偶然とは思えない。

結局、小波くんはその翌年に惜しまれながら引退。
同じく怪我から復帰した猪狩くんの例もあったからきっと、とは思ったけれど、そう上手くはいかなかった。
しかも「過去二回の例を見るに、アテがあるんだよね」とかなんとか言い残してどこかへ行ってしまうし。

「小波くんのバカ。ボクも連れてってくれればいいのにさ」

ボク、もうアラサーに片足つっこみかけてるんだよ?
……なんだか久々に自分のことをボクなんて呼んだ気がする。

「あ……もうすぐナイターじゃない。見なきゃ」

ちら、と壁にかかった時計を見ると、もうすぐキャットハンズのナイター中継が始まる時間帯になっていた。
はるかや綾乃たちと一緒に恋恋高校で後進の育成に努めるようになった今も、キャットハンズの中継は欠かさず見ている。
やっぱり愛着があるし、なにより大事なチームメイトたちとの繋がりをまだ保っていられるような気がするし。

ボク――じゃない、私と小波くんが引退したあと、キャットハンズの顔ぶれは若干変わってきた。
佐賀さんはポスティングで海外に行ったし、座古田さんはスタメンマスクを完全に聖に譲った。
もともと打てる捕手だった座古田さんは代打の切り札的存在として、変わらずキャットハンズにとって頼もしい人だ。

雅ちゃんもスタメンからは外れることが多くなってきて、最近は守備固めに使われている。
守備で稼げる選手だから、まだまだキャットハンズには必要な人材だ。いずれ守備走塁コーチも兼任するんじゃないかな。

みずきと聖は相変わらず息のあったキャットハンズのゴールデンバッテリー。
先発に転向したみずきは、魔球クレッセントムーンと、ボクの伝授したマリンボール、そして小波くんお得意の高速スライダーを駆使するリーグ有数のスーパーエースになった。
髪をお下げに変えたみずきは大人びたなぁ。

聖は座古田さんから譲り受けたスタメンマスクを被り、キャットハンズ投手陣を支える名女房。
昨シーズンは首位打者争いの一角に食い込んでいたから、今年に期待だね。

矢部くんは佐賀さんの穴を埋めるようにセンターに転向、キャットハンズの核弾頭として君臨している。
三試合連続で初回先頭打者ホームランを出したりして、より一層頼れる一番打者といった体だ。

でも、やっぱり色々様変わりしちゃったから、強豪キャットハンズの面影は薄れつつある。

「……さみしいな」

仕方がないことだけどね。
中継に映し出される懐かしいみんなの姿を見て、ボクはどうしようもなく彼らが恋しくなった。

その時、テレビの上段にテロップが流れた。
それは新しい時代の幕開けにして、小波くんの新しい戦いのはじまりだったわけなんだけど……。

『プロ野球界に新球団参入。新球団は津々家バルカンズとシャイニングバスターズの2球団』
『シャイニングバスターズの監督には、選手兼任監督として元キャットハンズ小波九選手が就任』


キャットハンズのみんなには悪いけれど、ボクはナイターそっちのけで携帯電話をひっつかみ小波くんの電話番号をコールした。



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