42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/05(日) 14:54:15.61 ID:I9K7G0xU0
「ど、どうして小波君が恋恋にいるの? 帝王実業に進んだハズじゃ……」
小波くん。私の中学時代のチームメイトで、その実力は折り紙付き。
チームこそ県大会止まりだったけど、小波君個人の実力は全国でも有数のものだと思う。
彼がマウンドに上がった試合は、守る私たちも安心して伸び伸びとプレーできたものだ。
その実力は県外にだって知れ渡っていたから、当然強豪からの推薦もあった。
小波くんは県外の甲子園常連、帝王実業高校に進んだと記憶していたのだけれど……。
「話すと長くなるからね。とりあえず食堂でゆっくり話そうか」
「う、うん……」
ニコニコと笑う小波くんに案内されて、私は恋恋高校の敷地へ足を踏み入れた。
小波くんの顔が利いているのか何なのか、特に咎められるようなこともなく、すんなりと食堂に到着してしまった。
……すごいなあ恋恋高校。食堂一つとってもおしゃれだ。というか食堂ってよりカフェテリアだよねこれ。
「お、席も空いてる。ちょうどいいや、座って」
「うん」
小波くんに続いて席に座り、私たちは向かい合う形になった。
昔から凛々しかったけど、顔を見ない間により一層小波君は凛々しさを増した気がする。
なんだかずっと真正面で顔を見ているのが恥ずかしくなって、私はふと視線を逸らした。
「どうしたの?」
「ちょっと恥ずかしくて……そ、それより! どうして小波君が恋恋にいるの?」
「俺は雅ちゃんが学ラン着てる理由も気になるけど」
そ、それは、その……。
「まぁ、まずは俺からだよね。……簡単に言うと、推薦を取り消されたんだ」
「えっ!?」
中学卒業の時は何も言ってなかったのに……。
そこまで考えて、それは私も同じことだったかと思い直す。
私が何かを言える立場じゃあ、ないよね。私は静かに小波君の言葉の続きを待った。
「中学卒業すぐに、トラックに轢かれちゃってね。野球は二度とできないって医者から言われて、それで」
「……えっ」
なんでもないことであるかのように軽く続けられた小波君の言葉に、私は言葉を失ってしまう。
トラックに轢かれたとか、選手生命が絶たれたとか……そんなの、軽く流せることなんかじゃ……。
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