3: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/10/02(木) 19:04:04.78 ID:wGGDvAXqO
「おはよう、斧乃木ちゃん」
ぱちくり、と目を開くと見慣れた鬼いちゃんの顔が映る。
「…………」
「どうした?」
どうやら、座りながら眠っていたらしい。
首を傾げる鬼いちゃんも横目に、きりきりと首を180度左右にゆっくりと振る。
自分で言うのも何だけれど、扇風機のようだった。
「その首をあり得ない角度で曲げる癖、人前で出すなよ」
顔がちょうど真後ろに来たあたりで、正面にいた鬼いちゃんのツッコミが入る。
いくら僕が式神とは言え、人間社会で行動する上は人間らしく振舞わなければならない。
首を曲げすぎるのは癖と言うか、便利なだけだ。
身体ごと振り向かなくても真後ろが見えるのは効率的だと思うんだけど。
「かっこいいでしょ、司馬懿みたいで」
「君はどう考えても呂布とか禰衡の類だろ」
「じゃあ鬼いちゃんは程遠志だね」
「超咬ませ犬じゃん!正史にすら出してもらえないの!?」
せめて馬謖あたりにしてよ、とわめく鬼いちゃんは放っておいて、辺りを確認する。
鬼いちゃんの部屋だ。
なんでこんなところで寝ていたんだっけ。
「そうだった、鬼いちゃんとお医者さんごっこをしている最中だったね」
「いや、してないぞ? 」
「鬼いちゃんが『僕の注射器で治療してあげよう』って言われた後に気を失った気がする」
「してねえっつってんだろ!斧乃木ちゃんが妹二人が出掛けて暇だからって僕の部屋に来た途端寝たんだよ!」
「そうだっけ。覚えてないや」
覚えてないのは本当だけど、まあ、冗談はこのくらいにして置いておこう。
これくらいのやり取りはもう日常茶飯事だ。
「夢を見たよ、鬼いちゃん」
「夢?」
ふと、先程の光景が気になって口を突いて出た。
こんな事を鬼いちゃんに言ったところで、どうしようもないのに。
「式神でも夢を見るのか?」
「いや、見ないよ」
「……?」
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