過去ログ - 八幡「やはり地球防衛ロボット"ジアース"は間違っている」
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『一瞬だけ、雪ノ下陽乃は仮面を外す。』
◆WqJdCIH9ivV3
[saga]
2015/02/07(土) 20:26:08.81 ID:XsgKVSwVO
陽乃「……コエムシ」
陽乃さんの怒気のこもった呼びかけに、コエムシはへらへらと応じて、俺の側から離れていく。
口からは息が零れ、感情の高まりが少しだけ抜けた。
そして、心から安堵した。
“この不快感な奴が、隣からいなくなるから”ではなく。
右ポケットを上から触り、小さな膨らみを確認する。
多分、コエムシは、気がついていない。
俺がこけた時に、ココペリのジャケットから滑り落ちた、小さなものに。
俺が表情を歪めてしまったのは、それをポケットに入れるところを見られてしまったのかと思ったからだ。
あの様子だと心配は無さそうだが、完全に安心は出来ない。
ここはコエムシのテリトリーなのだから。
八幡「……コエムシ、俺は帰らせて貰うぞ」
あくまで今の俺は、コエムシの発言に期限を損ねた男を演じなければならない。
コエムシは宇宙人だ。何が出来て、何が出来ないのか全然検討がつかないのだ。
しかし、この場を離れる必要はある。
コエムシ「くくく、まあそう言わずに。もっと僕を楽しませてくれよ」
やはりそう簡単にはいかないか。
どうしたらコックピットから抜け出せるか考えを巡らせていると、陽乃さんから声が上がった。
陽乃「あら、私とのお喋りは飽きちゃったのかしら」
コエムシ「くくく、まだ君の貴重な余生を僕に割いてくれるのかい?」
陽乃「ふふふ、それじゃあ、……」
陽乃さんはコエムシに耳打ちする。
そうやってコエムシの注意を引きつけている間、今度は俺の方にウインクをした。
陽乃「……だから彼には先に帰って貰いましょう」
コエムシ「……なるほど、仕方ないなぁ」
陽乃「今からちょっとコエムシと二人で話したいから、悪いけれど比企谷くんには席を外して貰えるかしら?」
何か察してくれたのだろう。
得体の知れない奴と交渉できるとは流石陽乃さん、味方だとこれ以上なく心強い。
これに乗らない訳がなかった。
八幡「そうさせて下さい」
憮然とした表情を作り、陽乃さんに小さく会釈した。
そしてコエムシがえいと体を振ると仕草をすると、俺の視界は砂嵐に覆われた。
見えるのは四方に白い壁。
トイレの個室に転送されたようだ。
俺は急いでポケットの中を確認した。
およそ数センチの正方形、厚さは数ミリの小さな黒いチップ。
裏側には銀色の線が幾つか入っている。
これはおそらく、情報記憶媒体だ。
今ならば、陽乃さんが時間を稼いでくれるはずだ。
だから何としても調べなければ。
ココペリの持ち物ならば何か助かる手がかりがあるはずだ。
俺は小さな希望を大事にポケットの中に仕舞い込むと、携帯に陽乃さんからのメールが来た。
時間を稼げるのは一時間ほどらしい。
コエムシに読まれても悟られない様にイジリやらを混ぜて、俺だけが分かるような巧みな文章だった。
とにかく、この一時間でメモリーカードの中を調べなければ。
材木座のような犠牲をもう出すわけにはいかない。
俺は軽く頬を叩いて、トイレの扉を開けた。
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