959: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/12/14(月) 21:09:32.40 ID:jGgpJsLto
「お姉さぁん」
私がそう声を掛けたら、お姉さんは山盛りの野菜を食みながら
「ん!おう、食べへるか?」
なんてお行儀悪く言ってくる。それを見たサキュバスさんと勇者様が
「食べながらしゃべるものではありませんよ」
「あなたのそう言うところ、姫ちゃんに似ないと良いんだけどなぁ」
なんて釘を指すどころか打ち込む勢いで言うものだから、お姉さんはなんだか半べそみたいな表情で私に何かを訴えかけてくる。
その何かは、単純。助けて、ってそう言ってるんだ。
でも、私は零号ちゃんのこともあるし、ごめんね、お姉さん。今は家族ぐるみ仲良くしていた方がいいよ!
ーーー家族って、ある日突然居なくなっちゃうことだってあるんだから、ね…
「ごめん、私、十六号さんからお使い頼まれてて」
私はお姉さんにそうとだけ断って、三人の横を通り過ぎて零号ちゃんのところへと歩み寄る。
そんな私達を見つけて顔をあげた零号ちゃんは、やっぱりなんだか冴えなかった。
「零号ちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど」
「お願い?なぁに?お手伝い?」
そう言っ笑った零号ちゃんの顔を見て私は生理のことなんかじゃないって、直感した。
唇を緩ませ、眉を弓形あげているのい、その目だけは笑っていない。
ほんの微かな違和感で、お姉さんや勇者様よりも分かりにくいけど、それは、お姉さんが良く見せていたあの悲しい笑みそのものだった。
「果汁水残りがなくなっちゃいそうでね。良かったら一緒に取りに行ってくれないかな?」
「え、でも、私、姫ちゃんを見てないと…」
「なら、それ私が変わるよ。良いですよね、議長様?」
零号ちゃんの微かな抵抗に、妖精さんがそうお姉さん市字を仰ぐ。私達思惑を知ってか知らずか、お姉さんは
自分助けてもらえなかった八つ当たりなのか
「あぁ、良いよ良いよ、変わってやって」
なんてちょっとぶっきらぼうに言った。
「ほら、行こうよ」
そう言って私は零号ちゃんの手を取った。
すると零号ちゃんは、私の手を思いの外ギュッと握り返して
「うん」
と俯き加減に返事をした。
「じゃぁ、行ってくるね」
そうみんなに声を掛け、零号ちゃんの手を引いたまま私はズンズンと歩き、本部の中に入って、屋上を目指す。
階段を登っている途中で零号ちゃんが
「あ、あれっ、果汁水って、台所じゃないの?」
なんて至極当然の質問をして来た。
「うん、屋上あるんだって」
私がそう返事を返す頃には、もう屋上へのドアまで二階層のところまで来ていた。
階段をズンズン上がって屋上へをたどり着く。もちろんそこには何もないし誰もいない。
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