11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/10/06(月) 04:07:34.53 ID:8aCZMlRr0
不気田の顔が、悲しみに染まっていく。
「そっか……」
一瞬緩んだ手の力に、由美子は腕を引いて不気田の手から逃れた。
「分かったら、さっさとここから……」
「僕の愛が足りなかったんだね」
不気田の顔は、既にいつものように気味の悪い笑顔になっていた。
「僕の家に一緒に住もうよ! 僕は、由美子さんのことが大好きだから……愛しているから!」
「い、嫌よ! 人間ならまだしも、蛙になったあんたなんかに愛されるくらいなら、死んだほうがマシよ!」
そう由美子が叫んだ瞬間、由美子の体が緑色に変色し縮んでいった。
「ゆ、由美子さん!?」
由美子が着ていた服が、床に落ちる。その中から、一匹の小さな雨蛙が顔を出した。
「そんな……由美子さん……」
不気田は雨蛙に手を伸ばしたが、雨蛙は不気田から逃げるように跳び跳ね、蛇の入った水槽の中に入っていってしまった。
蛇は、雨蛙を見た瞬間、喜んだように舌をチロチロと出し、雨蛙を丸飲みしてしまった。
「由美子さん……君が蛙なんかと言ってくれたおかげで、僕は人間に戻れたのに……。何で、僕の愛を受け入れてくれなかったんだよぉ……」
不気田は、由美子が死んでしまったことに、ただ涙を流していた……。
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