過去ログ - 不気田「蛙の王子様」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/10/06(月) 03:48:21.07 ID:8aCZMlRr0
 この少女にとって災難だったのは、偶然にも生物室の引き戸が少しばかり開いていたことだ。

 生物室の前を歩いていた不気田が、ふと引き戸が開いているのに気付いてしまったのだ。

 興味無さげに、生物室の中を見た不気田の目に映ったのは、頬杖をつき、楽しそうに蛙を見ている由美子の姿だった。

 不気田は不意に笑みを溢した。

「見つけたよ」

 本格的に日も落ち、由美子は、蛙の観察を辞めて帰ろうと椅子から腰をあげた。

「可愛い蛙ですね」

 由美子の背後から、声が聞こえた。さっきまでは、誰もいなかったはずなのに。

「僕も、蛙が好きなんです」

 一瞬感じた猜疑心は、この言葉で何処かに吹き飛んだ。生物部の誰にも理解して貰えなかった蛙の良さを、分かってくれる人がついに現れたのだ。

「ほ、本当に!? 良かったら、明日から一緒に観察を」

 振り向いて、相手の顔を確認した瞬間言葉が止まる。

「ぶ、不気田……」

「明日から一緒に観察……。嬉しいなあ」


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