過去ログ - 不気田「蛙の王子様」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/10/06(月) 04:00:25.19 ID:8aCZMlRr0
 思わず、後退る。

 これは……蛙の手? しかし、こんな大きな蛙は見たことがない。

「由美子さん……」

 ふと不気田の声が聞こえた。同時に、手が引っ込む。

「ぶ、不気田!? 何なの? あんたの嫌がらせなの!? やめてよ!」

「違うよ、由美子さん。僕は……」

 ずるり。

 緑色の手がまた現れ、窓に手をかける。

 しまった。鍵を閉めれば良かった。そう思うより早く、窓は全開になっていた。

「由美子さん。君が、蛙なら愛せると言ってくれたから……」

 ずるり。べたり。

 人間の身長ほどもありそうな巨大な蛙が、窓から入ってくる。
 
「僕は、蛙になったんだ」

 その蛙の顔は、不気田だった。
 
 ずるり。

 不気田がニタニタと笑いながら、蛙のような動きで近付いてくる。

「い、嫌ァッ!!」

「由美子さん!?」

 由美子は不気田を見た瞬間、部屋から逃げ出した。由美子の頭の中は、不気田への恐怖でいっぱいだった。


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