過去ログ - 向井拓海「The Passion――判定は許さない」
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112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:35:45.73 ID:hGctJzQM0
 くるみの背が震える。
顔は見えねえがきっと涙を堪えてるんだろうな。
こうして無分別に他者を傷付けるのは幾度目か。

 本当にアタシは馬鹿でアホで間抜けだ。
以下略



113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:36:52.01 ID:hGctJzQM0
 不甲斐無いと……思う。
目に涙が貯まる―――堪えろ。
アタシにもっと力があれば―――違う!

 必要なものはアタシの弱さを受け入れるほんのちょっとの勇気。
以下略



114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:37:48.00 ID:hGctJzQM0
「そうじゃねえんだ……そうじゃねえんだ……。
 だけど親父に会わなきゃ、もうアタシは一歩も前に進めねぇんだ」

 無意味に反発してお袋んとこを飛び出したせいで貯金はねえ。
稼いだ日銭もその日の糧を得る為に食い尽くしちまった。
以下略



115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:38:49.48 ID:hGctJzQM0
 この場へいたくない! どこかへ逃げ出したい!
風を切って走り出したい。フルスロットルで山道を駆け抜けろ。
アタシを呼ぶのは生と死が限りなく近くなる最速の世界。

「せーの うふっふー」
以下略



116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:39:35.99 ID:hGctJzQM0
【休む事も許されず 笑う事は止められて
 はいつくばって はいつくばって
 いったい何を探しているのか】

 くるみが歌いだす。
以下略



117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:40:49.16 ID:hGctJzQM0
 こいつは仁王立ちだ。
くるみはこの小さな背中でアタシの事まで背負い込もうとしている。

 こんな事をさせたい訳じゃなかった。
ガキなんざ毎日ちょっとだけ歌って、ちょっとだけ踊って、
以下略



118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:41:54.17 ID:hGctJzQM0
「ありがとうなくるみ。助かるぜ」

 うっし腹はくくった。
相棒のバイクを売っぱらおう。
アタシにはまだ削ぎ落せる贅肉が付いていた。
以下略



119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:42:47.51 ID:hGctJzQM0
 ッシャー。
不思議と気合が湧いてくる。不良娘はもう卒業だ。
バイクを売ればニューヨークへの飛行機代は片道位何とかなるだろ。

 親父に会おう。
以下略



120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:44:11.28 ID:hGctJzQM0
 知らず拳を握り込む。
左手のひらに金属板が食い込み、皮膚を切り血を流す。

 だがこんなちんけな痛みは恐れるものじゃない。
今はアタシの傷よりも大切なものがある。
以下略



121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 20:45:15.47 ID:hGctJzQM0
 だからなんでなんだよ!

 目に飛び込むはくるみの両手が放つ鈍い光。


以下略



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