過去ログ - 向井拓海「The Passion――判定は許さない」
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2014/10/06(月) 19:00:06.49 ID:hGctJzQM0
「バルーンが視線の高さに見えるってこたぁ、それ程高くはねぇわな。
大方上空200メートルってとこか。高層ビルの窓ふきと同じだ、種が割れりゃ怖いもんじゃない」
前言撤回。
アタシが足を進めるにつれ、進んだ分だけ梯子が消えうせる。消えた分だけ梯子は上空へと伸びる。
以下略
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2014/10/06(月) 19:00:42.68 ID:hGctJzQM0
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「船は水に浮くし、飛行機は空を飛ぶ。だから鉄が空に有っても驚きゃしねぇよ。
だけどよ、コンクリートが雲の上にあるってえのはさすがに聞いた事がねえぞ」
以下略
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2014/10/06(月) 19:01:22.79 ID:hGctJzQM0
ああ、こちらとて休業中でも喧嘩屋商売何でな。
どうしても初めて会う相手には、体格の目星を付けたくなるんだ。
「か〜けようにも椅子がねぇぞ〜」
以下略
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2014/10/06(月) 19:02:12.11 ID:hGctJzQM0
「木はどこの世界にもありますから。
それと泉ちゃんがこちらへまだ来てはいませんので、箱はあっても中身のOSが無いんですよ」
看護師の左側へ回り込んで合点がいった。この女椅子代わりに積み重ねたパソコンへ座って仕事をしていやがる。
以下略
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2014/10/06(月) 19:02:52.55 ID:hGctJzQM0
◆
「全ての始まりは日曜日。天気は晴れ。朝の10時。
アタシはもう既に死んでいた」
以下略
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2014/10/06(月) 19:03:33.49 ID:hGctJzQM0
あの頃アタシを慰めてくれたのはダチとチェッカーズ、そして男闘呼組だけだった。
毎日の御勉強はアタシのハートを縛り付け、将来への夢は机で削られて。
掃き溜めの中、毎日を繰り返し、淀み、腐る。
生きながら死んで行く、白でもなく黒でもない灰色のアタシ。
以下略
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2014/10/06(月) 19:04:12.98 ID:hGctJzQM0
◆
「貴女は死んだわ」
書類をファイルにまとめ上げ、看護服の女はそう切り出した。
以下略
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2014/10/06(月) 19:05:31.58 ID:hGctJzQM0
「私よ。
名前を尋ねるならば、まずは自分から名乗るのが筋よね?」
「尋ねられずとも名乗ってやるよ。アタシの名前は向井拓海。
ラジカセ片手に挑んだ峠は数知れず。箱根の山はアタシの庭さ。
以下略
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2014/10/06(月) 19:06:18.46 ID:hGctJzQM0
まずはこれだけでいい、反論を引き出した。そこには事実がある。
こいつは狂信者の目だ。開いてはいるが何も見ちゃいねぇ。だから嘘を付けない。
盲信とはよく言ったもんだぜ。自分の世界へのめり込んで戻ってこれなくなった盲人だ。
なんで判るのかって? お袋があの看護師と同じ目をしていたからだよ。
以下略
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2014/10/06(月) 19:06:58.93 ID:hGctJzQM0
そんなお袋と一緒にいるのが辛くてな。家を出ようと決めたのさ。
アタシはガタイが良いからよ。バイトを探せば履歴書無しでも、向こうが配慮をしてくれた。
証明写真撮るのもロハじゃねぇしな。10枚20枚と積み重なれば大金だ、その点は話の分かる大人もいてくれて助かるぜ。
おかげで今じゃ生コン作りとレンガの詰み上げなら一端のもんよ、へへっ。
以下略
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