過去ログ - 向井拓海「The Passion――判定は許さない」
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67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 19:56:00.22 ID:hGctJzQM0
「くっ……。すまねえ、悪く言うつもりはなかったんだ。
 社会貢献ならよ、今は別な形でやってるさ。アタシは真面目になったんだ。
 これからそのバイトに行くとこなのさ。アタシの仕事だ、しっかり務めて見せる」

 しおらしい言葉だぜ。そうだった、アタシのダチは献血を趣味にしている奇特な人間だったよ。
拳を使わずとも、アタシの舌は容易く他人を傷付けちまう。こんな時アタシは自分のおつむの弱さが心底嫌になる。
視線を合わせるのが気まずくて、何の気なしに辺りを見回す。

 焼きたてのパン、散らばる鉄パイプ、迷子の子供、魚のぬいぐるみ、たこ焼きの鉄板、献血のポスター、物乞い、
あの行列は――阿波踊りだな。感じているのは鈍い痛み、偏頭痛。
人込みに酔った訳じゃない、違和感の正体はまぶたの重さ。

 まただ、今のアタシには目の前の景色ががひどくゆっくりと見える。

「駄目だよ、あんなのにかかわっちゃ。縁なんてなかったんだからさ」

 泳いだ視線の先を短い銀髪は捉える。黒い瞳が心配そうにアタシを覗き込む。




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