110: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/10/14(火) 18:52:01.41 ID:TOPw8sWB0
長年戦っていた為仕方ないが、まだ魔王軍に敵意を持つ人は多い。
争いを止めるというのは、なかなか難しいものですね――
私の言葉に彼が頷く。だがその後続けた。「まだまだこれからだ」と。
彼は強い。これから困難な道が続くとわかっていても、立ち向かう覚悟ができている。
あまりにも強い彼が、私には大きな存在に感じる時がある。それから思う。自分は共に立ち向かえるのか、と。
「お前は立ち向かう必要はない」
彼は即座にそう言った。どうやら、また思っていることが顔に出ていたようだ。
「立ち向かうのは俺の役目だ。お前は――」
貴方を支えれば宜しいでしょうか――そう尋ねたが、すぐに否定された。
何年連れ添っても彼の言いたいことが読めない…だけどそんな私に彼は優しく微笑んだ。
「守られていろ。それで俺は前に進むことができる」
本当にそれでいいんですか?尋ねると彼はああ、と頷いた。「今までと同じくな」とつけ加えて。
彼は弱い私をずっと、守り、支えてきてくれた。私はあれから変わらず弱いまま。いいのだろうか、それで。
「何故、無理に強くならなければならない?」
答えられない。理由はわからないけど、弱いままではいけないような気がして。
「弱くてもいい」
私の自己否定的な考え方を、彼はすぐに否定してくれた。
「それがお前だ」
彼はいつも、私に欲しい言葉をくれた。
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