37: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/10/10(金) 17:24:13.63 ID:+Y9Q1rO80
それからまた暗黒騎士が帰ってこない日々が続いた。
勇者の捜索にかなり難航しているらしく、勇者討伐部隊の隊長である彼が帰って来れないのは当然のことだった。
勇者(今日も帰ってこないのかな…)
彼の優しい言葉が欲しかった。
1人だと考える時間が多くなり、同じ不安が何度も頭を巡った。この根強い不安は、1度慰めてもらった程度では解消されない。
勇者(あぁ駄目だ。こんなウジウジしてるのと居たらイライラするよね。気分転換しなきゃ…)
かといって魔物が徘徊する城内をうろつく勇気はなく、室内で何か気分転換できるものを探してみた。
すると、部屋の隅に立てかけられていた自分の剣が目に入った。
勇者(体を動かすとストレス解消にもなるって言うし…)
剣を手に持ってみた。戦うのは嫌いだけれど、適当に振り回す程度ならいい運動になるかもしれない。
勇者「てーい」シュッ
とても魔物を斬れそうもない太刀が空気を切った。
確信する。やはり自分に才能はないと。
勇者(でも、やっている内に上達するよね…)
戦士『そんな剣で魔王を倒せると思っているのかぁ!』
戦士『真剣にやれぇ!1日も早く上達する気持ちで!』
戦士『やっている内に上達すればいいなんて呑気なこと考えるなよ!』
勇者(き、厳しすぎるよ…)
思い出さなくてもいいことを思い出してしまい、かえって気分が沈むのだった。
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