過去ログ - 勇者「もう勇者なんてやめたい」
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73: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/10/12(日) 19:53:42.73 ID:TlbCtwci0
暗黒騎士「俺もお前と同じだった」

彼は私にそう語った。
彼は元々人間を守る側の戦士だった。
だけど、ある日突然体に浮かんできた呪いの紋章により、人々から差別を受け、人間に絶望し、魔王に寝返ったのだと。
紋章の謂れの通り、彼は人間に害をなす存在となったのだ。

人の人生を狂わせる、迷惑なものですね――私がそう言うと、彼は「そうだな」と呟いた。

以前彼に言われた言葉を思い出す。

『困難から逃げるのは悪いことか。立ち向かって、潰れるのが良いことなのか』
『お前に重圧をかけてくるのは人間達の勝手だ。ならお前も勝手になればいい…』

これは彼だから言えた言葉だったのだ。
彼は差別に負けず、自分を差別してくる人間達を守り続ければ良かったのか。差別と戦い、人間を守り、認められる日を待つべきだったのか。
だが、彼は差別から逃げることを選んだ。

「人間への復讐心があったのですか?」

彼は少し迷った後、頷いた。「あの頃よりは大分薄れたがな」と付け加えて。
きっと人間の敵に回ったことと、時間の流れがそうさせたのだろう。
だけど多分、まだ彼は完全には立ち直れていない。
先ほどの戦いで見せた苦痛の表情が、それを証明していた。

私と同じですね、本当に――

互いにいい思い出でないけれど、彼と通じ合えた。それが、今はただ嬉しく思えた。


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