90: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/10/13(月) 17:04:40.76 ID:kCIBrDNz0
魔王「人間達はお前にひどい言葉を浴びせ、中には肉体的に痛めつけてくる者もいたな?我が見つけた時のお前は、追い詰められ、死ぬ一歩手前のような姿をしていた」
私は魔王の言葉につい耳を傾ける。
魔王「紋章を授かる前のお前は、我らにとって恐ろしい敵…つまり人間達の希望と言ってもいいような存在だった。それを人間達は、紋章があるというだけの理由で迫害したのだ」
魔王「お前は悔しくないのか?人間の為に戦ってきたお前ではなく、あのように使命から逃げ出した小娘が希望の象徴となっていることを」
魔王「勇者を刈り取れば、人間達は絶望し、お前が真に満たされるとは思わんか?」
聞いているだけで私の心が乱される。
彼がどんな仕打ちを受けてきたのか、私は知らない。だけど自分が守ってきた人間に迫害されるなんて、想像しただけで恐ろしい体験を彼はしたのだ。
魔王の言葉に反論の言葉が浮かばない。過去は過去だなんて、私には言えない。
暗黒騎士「それが何だと言うんですか」
だけど彼は違った。
暗黒騎士「俺はあいつを守る…だから関係ない!」
彼はそう言って、魔王の放った魔法を真っ二つに斬った。
少なくとも見た感じ、彼の心が乱されている様子はない。
やはり彼は強い。ちょっとしたことで動揺して傷ついて駄目になってしまう自分とは違う。
私は自分自身より、彼の事を信じていた。
魔王「やはり乱されぬか、暗黒騎士よ」
魔王はさも残念そうな顔で言った。その表情のまま、次の攻撃の構えに入り――
魔王「残念だ。我の言葉に応じれば、この技を出さずに済んだものを――」
暗黒騎士「――」
魔王の肥大化した爪が暗黒騎士に直撃したのは、言葉を言い終えたのと同時だった。
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