12: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/10/08(水) 18:27:36.09 ID:B+mP747VO
「私と似た怪異が現れます」
「扇ちゃんに似た?」
扇ちゃんは、怪異だ。
詳細は省くが、阿良々木暦という人間を鏡写しにした怪異、とでも表現しようか。
彼女は僕に準じており、僕も彼女に依存している。
今でこそ忍野の気まぐれでこの世に存在を縫い止められたが、本来は阿良々木暦の汚穢、心裏、闇を写し取って現界した影法師だ。
僕にとって彼女は家族であり、最後の敵でもある。
お互い全てを理解し合っている存在というのは、何処まで行ったところでそれだけでしかない。
それ以上にもならなければそれ以下にもなり得ない。
「ああいえ、在り方が似ているという訳ではないんです。ただ、阿良々木先輩と私がそうであるように、対となることを根源とする怪異というだけで」
「ちょっと待て、さっき現れます、って言ったよな」
ということはまだ現れてはおらず、扇ちゃんないしは忍野には大体の見当がついている、ということだ。
「ええ、言いましたよ。本当は愚か者の阿良々木先輩に言う予定は無かったんですが、叔父さんがどうしても、と仰るので」
訳がわからない。
怪異が現れるから気を付けろ、ということなのか?
それとも僕に解決しろ、と忍野は扇ちゃんを通して暗に言っているのか?
こういう時に連絡が取れないのはもどかしい。
忍野のやつ苦手とはいえ、携帯くらい持てばいいのに。
「それで、どんな怪異なんだ?」
「それはあなたがその身を以って知るべきです」
まあ、扇ちゃんが教えてくれるとは最初から期待していないけれど。
「……ちなみに、いつ現れるんだ?」
「三秒後です」
「……え?」
ちょっとおい、三秒って、
瞬間、ぐるん、と半回転、
文字通り、『視界が回った。』
「うっ、うわあああぁぁぁっ!?」
ジェットコースターで上下が逆になるときの、あの違和感が全身を襲う。
そのまま重力の法則に従って天井に落ちるのかと思いきや、それも一瞬のこと。
何事もなかったかのように正常な視界へと戻る。
「な、なんだったんだ、今の……」
見ると、対面にいた扇ちゃんはいつの間にか忽然と姿を消していた。
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