13: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/10/08(水) 18:30:16.83 ID:B+mP747VO
004
意識の覚醒と同時に、見たとこもない街中へと放り出されました。
時刻は通勤ラッシュの真っ只中。
周囲には、それぞれ目的があるのでしょう、四方八方へと行き交う人々の姿が。
しばらくその様子を逐一観察していて気付きましたが、彼等は一貫して同じ表情をしているように見えますねえ。
なんと言いますか、見えない何かに突き動かされているような、そんな印象を受けます。
きっと行きたくもないところに習慣的に向かうことによって、こんな顔になってしまったんでしょうね。
と、見ると私もいつの間にかスーツを着ていました。
しかもネクタイまで締めています。
本格的なネクタイなんて初めてですが、なんですかこの息苦しい装飾品は。
こんなものを毎日着けているなんて、自分の首を絞めて何が楽しいんでしょうねえ。
ははあ、今回はそういう趣向のようですね。
いやはや、なるほどなるほど、滑稽ですねえ。
まったくあの愚か者は、誰にでもいい顔をしようとするからこんな事態に巻き込まれるんですよ。
あなた一人が勝手に巻き込まれて勝手に死ぬのは結構ですが、私まで巻き込まないでくださいよ。
「と、愚痴っていても仕様がありませんね」
ここにいない存在を非難したところで、居酒屋で仕事の愚痴を言うサラリーマンと一緒です。
事を進行するには行動を起こすべし、です。
それに、こうなることは半ば予想はしていましたしね。
自然と進む足に行き先を任せていると、とあるビルにたどり着きました。
そうであることが当然のように、エレベーターのボタンを押し目的の階層へ。
入口の扉には、『シンデレラプロダクション』と会社のロゴと共に印字されています。
私はここに来るのは初めてなのですが、不思議と既視感を感じるのは、気のせいではないのでしょう。
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