19: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/10/08(水) 18:43:22.91 ID:B+mP747VO
「だが君にはそれがない。とても稀有な存在だ。表裏一体、星輝子という人間には裏と表が同居しているのさ」
二面性がないのではなく、二面がひとつの人格として作用している。
だからですね、こうやって裏返ってもいつもと変わらないのは。
「君を軸にしてこの世界は裏返っている。けれど阿良々木先輩は例外でね、彼の裏側はこの私なんだ。なぜそうなったかは、機会があったら阿良々木先輩に聞くといい」
まあ、聞いたところで教えてはくれないでしょうけれどね。
私にとってもそうですが、黒歴史に違いありませんから。
「だから彼だけがこの世界から弾き出され、代わりに裏側である私がここにいるという訳だよ。弾き出されたと言っても、阿良々木先輩は普段通りの生活をしているだろうけれどね」
つまり、この私や星ちゃんから見たらおかしな世界は、いつも通りに回っている。おかしいのは星輝子ひとりだ。
昨日とは違いあらゆる事象が裏返っているけれど、それは星ちゃんからの視点であり、この世界では単なる常識でしかない。
そりゃあ、何かが一つだけおかしければ違和感も産まれますが、全てが逆ならば何事も問題なく進むものです。
「…………」
「どうしたんだい?そんな難しい顔をして」
いきなりこんな頓珍漢なことを言われたらそれも当然かもですね。
しかし私にこれ以上のことは出来ませんよ?
「よ、よくわからない……」
「あらら」
中学生には難しい話だったのでしょうか。
それとも私の説明の仕方が悪い?
とはいえ、私は羽川先輩のように饒舌でもなければ、叔父さんのように説明上手でもないんですよねえ。
「うーん、どうしようかなあ」
「ぷ、プロデューサーは……どこに?」
あ、そうでした。
こんな困った状況はあの人に押し付けてしまいましょう。そうしましょう。
「はっはー。それじゃあ、阿良々木先輩に会いに行こうか。あの愚か者なら、なんとかするでしょう」
私は他人に干渉して事態を促すのは得意ですが、個人的な問題を解くのは苦手なんですよね。
阿良々木先輩ならその点、どんな事態もなんやかんやで収束させてくれちゃうでしょう。
まあ、それが毎回ハッピーエンドとは限らないのが阿良々木先輩であり、彼の魅力なんですが。
さてさて、今回は上手く収まりますかね?
「ところで星ちゃん」
「な、なに?」
「あの亀、何回ひっくり返したんだい?」
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