過去ログ - 阿良々木暦「しょうこトータス」
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6: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/10/08(水) 18:15:01.69 ID:B+mP747VO

「ん……?星、なんだそれは」

ふと、星の抱えるキノコの中に、動くものがあった。

無論、菌類たるキノコが動く筈もない。
こちらがやきもきする程ゆっくりと動くその物体は、僕の知る限り亀だった。

「亀?」

「ぺ、ペット……昨日、拾った……」

「へえ、拾い亀とは珍しいな。名前は?」

「べ、ベニテング」

「…………そ、そうか」

個性的すぎると突っ込みも冴えないな……。
この僕が突っ込み出来ないなんて、末恐ろしいやつだ。

「な、なあプロデューサー……ちょ、ちょっと提案なんだが……」

「提案?なんだ?」

「フヒ……き、今日はプロデューサーをディナアにご招待……したい」

ディナア?

ああ、ディナーね。

「ディナーって夕飯のことか?」

「ぷ、プロデューサーのために……そ、育てた」

「星……!」

なんてことだ。

あの星が、初めに会った時からキノコ一辺倒だった星が!

僕に食べさせてくれるためにキノコを育ててくれていたなんて!

感無量だ!

思わず涙腺からプロデューサー汁が漏れる。
プロデューサーやってて本当に良かった……。

「フクロツルタケにタマゴテングダケ……クリイロカラカサダケにカエンタケなんてレア物もあるぞ……」

「ってそれ全部食ったら死ぬ系のキノコだろうが!」

「フヒ…………フヒヒフハフヒヒ……!」

まさに魔女のように裂けるんじゃないかと心配するほど口の端を吊り上げて笑う星。

星とコミュニケーションを取るために覚えたキノコの数々をこんな形で披露することになるなんて!

「じょ、冗談だプロデューサー……ディナアはちゃんとある」

「そ、そうか……」

良かった、担当アイドルを毒劇法で通報するなんて事態にならなくて……。

「め、メインディッシュはキノコ鍋……く、く、加えてエリンギのステーキにシイタケの煮物、え、エノキとシメジのサラダにデザートの冷やしナメコのフルコースだ……」

「何その菌類インフレ!!」

「長い間……そ、育ててきたキノコたちが収穫時だからな……フヒヒ」

なんてヘルシーさだ。
血液がサラサラになってしまうじゃないか。



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