過去ログ - 我那覇響のむちむちぷりん -SS速報VIP

過去ログ - 我那覇響のむちむちぷりん

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1: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:44:45.42 ID:p+ENcYnfo

「うぎゃーっ！　むちむちぷりんって何さー！？」

「しょうがないだろ…そういう仕事なんだからさ…」

と、おれはため息まじりにいった。

おれは芸能７６５プロ所属のＢランクアイドル、我那覇響の担当プロデューサーを務めている。
これまで何度も響をなだめすかし、励まし、その才能を引き出してきたおれだが
今回の企画ばかりは響を説得するのに骨が折れそうだった。

おれは皮肉をこめていった。

「それにこないだの誕生日に『大人になりたい』と言ったの、響じゃないか」

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2: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:45:38.15 ID:p+ENcYnfo

「あ…あ…、あれはそういうつもりで言ったんじゃないの……」

しどろもどろになって声のトーンを下げる響を横目におれは胸ポケットから携帯を取り出した。
通知が来たのである。相手は『むちむちぷりん』のＣＭ企画を発案したメーカーの人だった。

3: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:46:11.85 ID:p+ENcYnfo

「ええ、拝見させていただきました」

おれは手元の資料をぺらぺらめくりながら声をひそめていった。

4: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:46:52.95 ID:p+ENcYnfo

響は膨れっ面でおれを睨んでいた。

「自分、出るだなんてまだ言ってないぞ…」

5: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:48:00.95 ID:p+ENcYnfo

「そ、そんなの恥ずかしいってば！」

「恥ずかしくない！」

6: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:48:46.24 ID:p+ENcYnfo

「貴音とあずささん……二人にはどう説明するんさ？」

「うむ。おれがＣＭの内容を演技指導する。
先方の強い要望で、撮影日までに必ず企画に沿ったイメージを作ってくれとのことだ」

7: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:49:46.85 ID:p+ENcYnfo

「……お、おう」

「な、なんでそこで元気のない反応なんだ！？　もう知らないっ！　バカ！」

8: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:50:26.67 ID:p+ENcYnfo

「響の為なら、それはもちろん協力するよ」

「あ！　ヘンタイな事をしたらダメだからな！？　レッドカードで一発退場させるぞ！」

9: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:51:08.70 ID:p+ENcYnfo

彼――武田蒼一の指定した場所は、赤坂の高級ホテルだった。

ここの８０１号室で、とあるアイドルの作曲をするために缶詰になっているのだという。

10: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:52:08.90 ID:p+ENcYnfo

「ええ、そうです。おれは真面目な演技指導というやつが初めてでして」

酒を飲んで話そうという武田の提案に従い、ウイスキーの水割りを二人分作りながら、おれはいった。

11: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:53:07.82 ID:p+ENcYnfo

「君も知っているとは思うが、演技指導というのは情熱を持ってやるものだ。
だからわれわれの場合、情熱的に指導した結果、つい相手の敏感な場所に触れたり
下世話な話題に入ったとしても、それはそれで仕方がないんだ」

12: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:54:08.97 ID:p+ENcYnfo

「ふ。製品名までコテコテとした古臭さですよ。もっとも背景合成は最先端のＣＧ技術を詰め込んで
うまくスタイリッシュにするらしいし、放送映像ではひらひらした布のＣＧが響の乳首や股間をうまく隠す。
もちろん、響の方も撮影ではニプレスや前貼りを装着して演技する」

13: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:55:07.26 ID:p+ENcYnfo

「もう焦れったいから、君にこれをやろう」

やがて武田は立ち上がり、スーツケースの前に行き、中から液体の入ったチューブボトルを取り出して
おれに手渡した。ずっしりと重みのあるその感触に、おれは少しびっくりして武田にたずねた。

14: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:55:55.73 ID:p+ENcYnfo

「フム？　どういう事です？」

「ナニ、僕の方でそれをやって成功例があるんだ」

15: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:57:25.93 ID:p+ENcYnfo

７６５プロ前に到着する頃には、空には夕焼けが濃くなり、腕時計はちょうど午後５時を指していた。
タクシーから降りたおれは、道端の向こうから大きな袋を両腕の中に抱えて、こちらに歩いてくる響の姿を認めた。

16: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:58:19.83 ID:p+ENcYnfo

「えっ、えっ？　ま、待ってよ。じ、自分まだ、心の準備が」

「身体の準備が出来れば、心の準備も出来る」

17: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/11(土) 23:59:19.70 ID:p+ENcYnfo

おれは都内マンションの自分の部屋に響を案内した。

おれの部屋は、仕事が忙しくて着替えと寝に寄るだけの場所と化していたため
引っ越し当初と今もほぼ変化が無く、小ざっぱりしている。

18: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/12(日) 00:01:08.02 ID:Ievo9gkao

おれの脳裏に武田さんの言葉が蘇る。
響がおれを憎からず思っているかもしれないと彼はいったのだ。
またおれが響を好いているとも彼はいった。

19: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/12(日) 00:01:41.32 ID:Ievo9gkao

「あれ、プロデューサー。さっきまで、どこへ行ってたんだ？」

寝室からリビングに戻ってきたおれの姿を見て、響が声をかける。

20: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/12(日) 00:03:08.12 ID:Ievo9gkao

これはいつもセクハラし次の演技指導でもセクハラを仕掛けるに違いないおれに対する
響の意趣返しではないか、と、おれは思い始めた。

つまり、お前なぞこうして女の方から重い雰囲気を作って迫ったらびっくりして何も出来ないのだ

21: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/10/12(日) 00:04:46.75 ID:Ievo9gkao

「おれは君だけなんだよ。ぼくにとっては。そのポニーテールも似合ってる。とても可愛い。
よく頑張ってる。いつもいつも頑張って。どんな仕事も前向きに取り組む。
本当は辛くてもみんなの前では弱音を決して吐かない。ぼくの前でもだ。なぜだ。
ぼくの前ではどんな響だっていいんだよ。ぼくは君と一緒に仕事できるだけで幸せなんだ。

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