過去ログ - 劇場版アイマスで水瀬家に宿泊した志保のお話 抄
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[sage]
2014/10/12(日) 11:53:29.76 ID:NHNSY0P+o
「志保……?」
なにものかに私の肩が掴まれた。タオル地のバスローブの上から触れてきた”それ”は、ぬらりぬめりと死人のような生ぬるさで私を引き寄せようとしてくる。
「いやぁ!」
得体のしれないものを振りほどいてベッドの上を後ずさる。一メートルほどの距離を取ってようやく、私の肩に触れたものが伊織さんの手のひらだと理解できた。
差し伸べられた手の体温に違和感を覚えたのは私がかいていた汗のせい。
引き寄せられる感覚は抱き寄せてくれようとした証拠。そんな単純な状況把握すらできなくなっている?
「落ち着きなさい、志保」
ベッドの中央に座り込む私の元へ、先輩が歩み寄ってくれた。
「落ち着いて……ます……。大丈夫です……」
「青白いカオして説得力ないわよ。ほら、ゆっくり深呼吸して」
「………」
黙って首を振った。年下の先輩の優しさに従ってしまえば、そのまま私の弱さが溢れてしまいそうで、短い呼吸を繰り返すことしかできなかった。
「怖いものを怖いと認めるのは、勇気がいるわよね……」
伊織さんの腕に肩を抱かれた。暖かさに触れてしまうのを嫌って身体をよじらせてみても、細腕が私の腰に回されるばかりで逃げようがない。
ついには後頭部をそっと支えられ伊織さんの鎖骨に鼻先を押し当てる形に固定された。乱れた呼吸が直にぶつかっているのに先輩はより強く私を抱き寄せる。
「さ……。辛いこと怖いこと不安なこと、全部吐き出してしまいなさい」
「イヤ……ヤダ……言いたくない! 言いたくない! 怖いわけない! これぐらい乗り越えられなきゃ一人前になんてなれない!」
まるで癇癪を起こした女児のよう。
自分以外の体温を感じるたびに心の壁が剥がれていって、既に声も涙混じりとなってしまっているのに虚栄を張り続けようとしてしまう。
「乗り越えていくことは必要よ。でも、みんなで乗り越えていけばいいの。アンタはひとりじゃない。私だって春香だって、全員そうしてきたんだから」
「だって……だってぇ……」
「自分の弱さを露わにするなんて、誰だって心が荒むに決まってる。でも、誰にも相談せず自分一人で抱え込んでる方がもっとしんどいのよ」
後頭部を優しく撫でていてくれた手のひらが、頬に当てられた。
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