過去ログ - 劇場版アイマスで水瀬家に宿泊した志保のお話 抄
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/12(日) 12:02:04.26 ID:NHNSY0P+o
「やっぱり起きられません……」

「ウソでしょ。もう半分以上起きてたじゃない」

 脱力してベッドに崩れ落ちる私に伊織さんは呆れ半分だった。

「しめた!っていやらしいカオしてから寝直したってバレバレよ。……ったく。なにをしてほしいの?」

「……お水、飲ませてください」

 握りこぶし程度のサイズのコップは飲み口が広く、浅く傾けただけで中身がこぼれてしまうだろう。
 仰向けに寝ている人物に水を飲ませようとするなら、ガラス容器を頬に当てて口の側面から傾けるか、顎の方から注ぐかの方法が考えられる。
 しかしどちらもコップを傾けすぎると寝具や寝ている人の顔を水浸しにしてしまう。

 で、あるならば。残された方法はひとつ。

「このヘンタイ」

 意図はきちんと伝わったようで悪態をひとつついてから伊織さんは自分の口に冷水を含み、私の上に覆いかぶさってくれる。

 狙いがブレないように頬を支え、まずは唇の先端だけを触れ合わせた。
 寝起き直後の私の唇はすこしばかりカサついていて、伊織さんの瑞々しい唇がそれだけで癒やしを生む。
 口内の水分が重力にしたがってしまわないようにピッタリと閉じられたところから、ベロが顔をのぞかせて露払いをするかのように私の口を左右に割り開いた。侵入者が一度引っ込み伊織さんの唇がうっすらと開けられたことで、いよいよ甘露が降り注ぐこととなる。

「ん……っ」

 いささか緊張した様子の鼻息が漏れた次の瞬間、伊織さんの口の中でほのかに温められたミネラルウオーターが私の口内に流し込まれた。ほんのりと伊織さんの唾液の味が感じられ、心が満たされる。

 すぐに飲み込んでしまうのはあまりにももったいなくて、液体の中で舌を泳がせてオレンジに似た香りを堪能したあと、口をすぼめてみせる。
 唇は合わせたままだったからその変化を伊織さんは敏感に察して何事かと目を見開いた。
 まぶたを冷やしておけと渡された氷嚢を脇において、先輩の首筋から後頭部までをぎゅっと抱きしめ、後退を阻んでから唇をすぼめて容積が少なくなった口内の水分を舌腹で押し出していく。

「アンタが飲まなきゃ意味ないでしょ……」

 唇同士を触れ合わせながら私にだけ聞こえる声量でぼやいた伊織さんは、堪忍した様子で私からの贈り物を受け取ってくれた。

 いったん顔を離した先輩は、瞳と眉で「これ、どうしたらいいの?」と訴えてくる。


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