過去ログ - 劇場版アイマスで水瀬家に宿泊した志保のお話 抄
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[sage]
2014/10/12(日) 12:03:23.58 ID:NHNSY0P+o
「くちゅくちゅ、もごもごってして、返してください」
甘えた口調で要求したところ、目の前のお嬢様の眉間の皺が深くなったように見えた。多分気のせいだろう。
伊織さんは鼻息で器用にため息をついて見せて、それから言われたとおりに頬とあごを動かし始めた。
お互いの口内を一往復して体温を奪い合ったミネラルウオーターは、もう常温に戻ってしまっているだろう。
唾液そのものを交換し合った仲であるはずにもかかわらず遠回りなものを介して戯れるのは、奇妙な優越感に浸れて顔がほころんでしまう。
私の上にうつ伏せに寝転んでいる伊織さんが、額を私のそれにくっつけた。用意ができたらしい。
わざとアヒル口を作って受け取りの合図を送ると、伊織さんの頭の重みが私の口に集められた。
ちょろろ……。
ミネラルウオーターと伊織さんの唾液と私の唾液の混合物が重力に従って、湧き水のように口腔へ流し込まれる。
二回目の受け取りはとてもスムーズに行われて、一秒もしないうちに中身が移し替えられた。
案の定生温くなった液体はおそらく伊織さんの体温と同じ温度。
一度目に味蕾を刺激した伊織さんの味もあからさまに濃厚になっていて、一息に飲み込んでしまうのは、やはりもったいないという想いが生じてしまう。
「……早く飲んじゃいなさい」
ゆっくりと味わっていたところ、伊織さんが身体を離してしまった。これではもう一往復させるのは難しそうだ。
ミネラルウオーターにしては少々粘度が高く感じられるそれを、舌の腹や裏側、頬の内側までしっかりと行き来させて、名残惜しいながらも喉を通過させる。
舌先を上顎にくっつけて、舌のつけ根を盛り上げる。
こくり、こくり――。
「ぷ、は……」
鼻を抜ける香りにわずかに伊織先輩のにおいが残っているのが、全身を支配されているようでゾクゾクする。
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