過去ログ - 劇場版アイマスで水瀬家に宿泊した志保のお話 抄
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/12(日) 11:41:15.85 ID:NHNSY0P+o
 家主である水瀬先輩を除いて、七人もの人数が天候不良で急遽訪れたはずなのに部屋のすみずみまで清掃が整っていることを考えると、この客室の維持にどれだけの費用がかかっているのか想像できない。
 やよいさんが「伊織ちゃんのお家は博物館みたいにおっきいんだよ」と説明してくれて、私は最初それを誇張表現だと受け取ったわけだが、ほとんど言葉通りだった。

 急なお泊まり会。ダンスレッスンの後に着替えをする予定だったから、下着の用意をしてあったのは幸いだった。
 レッスン用のジャージを寝間着代わりに寝るつもりだったのだけど、お風呂を貸してもらって、脱衣所に戻ったときにはもう私たちの洋服はお手伝いさんたちに回収されてしまっていて、かわりにバスローブが用意されていた。
 当たり前のように大人数名が同時に入れる広さの浴室へ一緒に向かった奈緒さん美奈子さんと顔を合わせて苦笑いしてしまったのは、気恥ずかしさからだろうか。
 洋館とも言えるようなお屋敷の中、異常に広いお風呂から上がってバスローブに身を包むなんて、これまで経験があるわけがなかった。

 書き物机の上には液晶テレビの用意もあったけれど、この異世界感を大切にしたくてテレビをつける気にはなれなかった。
 ただそうすると食事もお風呂も済ませてしまったから、もうあとは寝るだけ。
 室内に時計が見当たらなかったのでスマートフォンで確認すると、もう一時間ほどで日付が変わる時刻だった。意外と長い間先輩たちとおしゃべりをしていたらしい。

「……いえ、おしゃべりというような気軽さではなかったわね」

 スマートフォンをベッドの上に放り投げてうつぶせに自分も倒れ込む。ベッドの軸が迷惑そうにきしみ音を鳴らしながらも、私の身体を受け止めてくれる。

 もう何日、可奈の姿を見ていないだろう。地方での合同合宿が終わって、ミニライブに参加させてもらって。
 ……そこで大きな失敗をしてしまって、それを週刊誌に取り立てられてしまって。

 私自身もミニライブで百パーセントのパフォーマンスができていたかと問われれば、答えはノーだ。
 だけどステージ上でつまずいて他の子まで巻き込むという失態を犯した可奈の、楽屋での態度を許すことができなくてキツく当たってしまった。

「みんなで一緒にがんばろう、なんて……」

 プロとして本番までに仕上げてこなければならなかったはずのダンスをトチり、あまつさえ他の子まで巻き込んで転倒した可奈が発言していい内容ではなかった。

 間違ったことを言ったつもりはない。それでヘコんでダメになるならあの子の熱意もそれまでだったというだけの話。
 そのはずなのに765プロの先輩たちはみな、可奈のことを気にかけている。正直理解できない。

 彼女自身に失敗を取り戻そうとする意欲があるのなら、まだ救いがあった。
 二、三日余分に休息を取るぐらいで目くじらを立てるつもりはなかった。試行錯誤する姿勢を見せてほしかった。

「もういらないから、なんて……」


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