過去ログ - 水本ゆかり「恋の話、聞いてもらえませんか」
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3: ◆J6sXPQ/xjk[saga]
2014/10/18(土) 23:42:28.40 ID:RVCS1fR3o

P→

「プロデューサーは、許してもらえると思いますか?」

 ……待てよ、俺か? いや、待て待て、いつだってそういうご都合主義な考え方で失敗してきたじゃないか。よく考えろ、阿呆め。
 その人は明朗快活な人物らしい。俺はどうだろうか。ああ、どちらかといえば卑屈だ。年下の子に弱みを見せるのが格好悪いと思っていつも無理やりに笑っていたりするが、根本は何というか、インドアだ。熱帯魚とか飼っている。サボテンも育てている。しかし、プールでの仕事のときにゆかりが法子と有香の二人に引っ張られて水着を見せに来たことが、あったよな、確かにあった。赤くなって逃げ出してしまったのも覚えている。……俺か?

「あの……」

 無言の空間に不安を覚えたのか、ゆかりがおずおずと声を上げた。さて、ここで思い悩んでいても仕方がない。いま俺に出来ることなんて一つしかあるまい、確認作業だ。お前の気持ちは分かっている、さあこの胸に飛び込んでおいで、なんて格好を付けた上で勘違いだったりしたらもう、窓を突き破って道路に飛び込まざるを得なくなる。石橋は叩いておくに越したことはない。

「緊張して逃げちゃうなんて可愛らしい姿を見せられたら、許すより他ないだろうよ」

「そうですか。よかったです」

「ところで、その人って」

「はい」

「プールに何枚もビート板浮かべて水の上を走ろうとしたりする人?」

「はい、『見て見て、忍者も真っ青の水上歩法だ』って、はしゃいだりする人です」

 俺だ。そのあと盛大に転んで鼻血を出したりする人か、という問いにも肯定が返ってきた。間違いない、俺だ。


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