過去ログ - 水本ゆかり「恋の話、聞いてもらえませんか」
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8: ◆J6sXPQ/xjk[saga]
2014/10/19(日) 23:17:45.19 ID:0gxa3WZjo

ゆかり→

「一応、告白のつもりです」

 あまり迂遠が過ぎるのも作法がなっていないかと思い、言葉を簡潔にして伝えてみます。緊張に口の中が渇いていても、それだけはきちんと言うことが出来ました。一つ息を吐き、のどを湿らせようとカップの取っ手にかけた指が、中の紅茶に波紋を伝えていました。慌ててテーブルの下に手を隠したけれど、気付かれてしまったでしょうか、恥ずかしい。

「あの、そろそろ出ましょうか。事務所に戻らないといけませんし」

 取り繕うようにそんなことを言っていました。ケーキも食べ終わりましたし、紅茶は少し残してしまったけれど、手が震えて飲めないので、ごめんなさい。この場に未練が無いかと言われれば、もちろんあります、もっとお喋りしていたいです。でも、一番伝えたかった事は臆せず伝えることが出来たので、私はもう大満足です。

 なんて、強引に自分を納得させてみたりして。

「お返事は、頂けなくとも構わないんです。アイドルとして、プロデューサーにご指導を賜れれば、それだけで幸せなので」

 嘘をつきました。上着を羽織り鞄の中身を確認しながら、私は続けて言います。

「こんなこと言われただけで困ってしまうとは思います。けど、これ以上困らせる気はないので、安心してください」

「ゆかり」

「あのっ、今の関係を変えたいなんてこと、思っていないので」

 何かを言いかけたプロデューサーを遮って、嘘に嘘を重ねます。本当は、恋人になって、休日を一緒に過ごしたり、お揃いのアクセサリーを着けたりしてみたい。はしたない考えだとは分かっていながらも、キスなんか、してみたりとか、したいです。

「一回りも年上の男性に、何を生意気なこと言ってるんだって感じですよね。笑っていただいても構いません。プロデューサーの笑った顔、好きですので」


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