過去ログ - レッサー「『新たなる光』の名の下に集えよ、戦士」 〜闇、海より還り来たる〜
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804:名無しNIPPER[saga]
2015/05/12(火) 11:51:05.93 ID:txbrR/w30
ベイロープ「なんて言うのかしら、こう、所謂『異界探訪譚』は様々だけれど、あくまでも『冥界下り』は手段であって目的じゃないのよ」

上条「手段?」

ベイロープ「そう。オルフェウスは恋人エウリディケを甦らせるのが目的であって、冥界へ下るのは死んだ彼女を連れて帰るため。ここまではいい?」

上条「だな」

ベイロープ「でももしこれが、”他に死者蘇生の手段”があれば、わざわざ冥界まで来たりはしないのよ」

上条「神話にツッコむのもどうかと思うんだけど……」

ベイロープ「いやそうじゃなくて。彼がしたのは『儀式魔術師の一種だった』ってのが、こっちの見解ね」

ベイロープ「人は、特にオルフェウス自体は魔術師でも何でもなく、ただ優れた楽師であるだけの存在だったわ」

ベイロープ「冥界から戻って来た後はオルフェウス教団を立ち上げるけど……まぁ、少なくとも冥界へ下るまではただの人よ」

上条「……悪いんだが、何を言いたいのか――」

ベイロープ「と”同じよう”に。ギリシャ神話にはある悲恋が伝えられているの。それが――」

ベイロープ「――『セレーネとエンデュミオン』」

上条「あー、うん。そうだけどさ。それとどういう関係が?」

ベイロープ「セレーネはエンデュミオンが老いるのを悲しみ、自らの手、もしくはゼウスへ頼んで死して眠る存在へと引き上げた」

ベイロープ「『死者の復活よりも難しい奇跡をアッサリと行っている』のは、分かるかしら?」

上条「あーはいはい、成程。そういう事かよ。何となく話は見えてきた……つまりだ」

上条「オルフェウスって”人”は大切な相手を生き返らせるため、わざわざ死後の世界まで行かなきゃいけなかった。これに対して」

上条「エンデュミオンは”神”によって、割とすんなり不老不死の力を手に入れる事が出来た……」

上条「この両者の違いなんなんでしょうかー、って話か?」

ベイロープ「その通りね。エンデュミオンは、まぁ分かるでしょう?」

ベイロープ「魔神セレーネやより上位存在であれば、地上で起きてるような事をやらかすのも可能――あくまでも”神”だから」

ベイロープ「けれどオルフェウスはどこまで行っても楽師でしか過ぎない。実際に仲間を助けるために命を落とし――」

ベイロープ「……?」

上条「うん?」

ベイロープ「『楽師オルフェウスの死後、彼の竪琴の腕を惜しんだアポロンにより星座へと列せられた』……って、誰かが言ってる」

ベイロープ「『だからアポロン神の巫女たるシビルが、冥界下りの術式を使える』のね」

上条「誰と話してんだ、さっきから?」

ベイロープ「えぇごめんなさい。話が途中だったわね――と、結論から言えば『”冥界下り”自体が一つの儀式魔術』なのよ。要は」

上条「そりゃ……そう、じゃないのか?生身の人間が死んだ人らの世界へ行く、ってのは」


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