過去ログ - 提督「ただ北上とニャンニャンするだけ」【R18】
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2: ◆6/hB3OsqZI[saga sage]
2014/10/22(水) 20:23:35.10 ID:jQ6aKHH+0

執務室―――
白い軍服を着た男が一人、黙々と机に置かれた書類に目を通しサインしていく。
時刻は既に11時を回り、明かりのついた部屋を覗くように月が見下ろしていた。
男はサインを入れる手を止めて、持っていたペンを無造作に放り投げる。カランと音を立てて転がり、山のように積まれた書類にぶつかり止まる。

「くふっ――がああぁぁぁ…………ったあぁぁ」

豪華な革製の黒い椅子に座る男は、背もたれに背を押し付け、夕食からおよそ3時間に渡る書類の山との格闘を終えたことを労うように、背を伸ばして溜まりに溜まった疲労を発散させていく。
椅子はギシィ…と音を立てて体を支え、背が伸ばされたことでバキバキと背骨が今までの重労働にようやく悲鳴を上げた。

「長い戦いだった……ようやく寝れる、もう自分の名前も見たくない……」

サインを入れるという単純作業から逃れた男は背もたれに完全に脱力しながらつぶやいた。
普通なら夜の11時……23時は、遊び盛りの若者からすればまだまだ寝るには早いだろうが、彼はここ、深海棲艦と人類の戦いの拠点、鎮守府を預かる軍人――提督である。
明日にはまた出撃編成や演習、遠征の予定の確認、そしてまた書類との格闘と、やることはまるで零時を基準にリセットされるかのように再び山積みなって現れる。彼ないし、他の鎮守府を預かる彼らにとっても、今の時間は十分に遅いのだ。とはいえ彼もまだ十分若い人間なのだが……。

「寝よう、今すぐ寝よう、後もう少しだけ耐えてよ瞼ちゃん……」

気を紛らわせるかのように一人呟き、フラフラとおぼつかない足取りで、執務室に備えられた彼の寝室へと向かう。
寝室へ入る扉を開けて執務室の明かりを消した提督は、そのままフラフラとベッドに近づいていく。

「ああ〜……服脱がないと……でももう眠い、皺付けると鳳翔さん怒っけど……謝るかぁ……」

とやかく言いつつも軍服の上着を脱いで近くの棚に放り投げ、月明かりが仄かに照らす室内を漂ってベッドに倒れ込む。

ぐえぇっ

ぐほぅぁ…

カエルが潰れるような音が、いや声がした。そして鳩尾に硬い何かが激突してむせ返る提督。まさか……と一瞬あることが頭を過ぎり、身体を起こしてベッドのシーツを捲る。

いた。

「なにすんのさー……」

部屋の暗さと眠気への抵抗により半眼となっていた提督は、ベッドに潜んでいたそれに気づくことなく倒れ込んだ。
大の大人が突然圧し掛かったために、ベッドの侵入者は事の落下物をジトーっと睨んでいた。あまりの衝撃に顔を真っ赤にして涙目になり、声は震えていたためまったく威圧感はない、むしろ愛くるしささえ漂うかもしれない。

「それはこっちの台詞だ、北上……何してんの?」



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