過去ログ - 朝倉「すきのしるしのきす」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/27(月) 22:54:27.90 ID:YCJmHLXG0
本当はもっと手っ取り早く退路を断つこともできるのだが、ここはもうちょっとだけ甚振って少しでも外野に対する時間を稼ぎ――
もとい、強者の愉悦を堪能したい。

なにせ古泉に対する数少ないアドバンテージなのだ、偶には優位性を味わってみてもいいだろう。

「キョン君ってば」

「聞き分けのないやっちゃな。あとちょっとで詰みに追い込めるんだ、集中させてくれ」

さて、そのためにはもうちょっと盤面に集中したい。
外野のヤジはシャットダウンしつつ、椅子をひいてもう少し身を乗りだして将棋盤に対する居住まいを正すと、ガタリと窓側からも椅子から立ち上がった音が鳴る。
同時に、バサリと紙の束が置かれたような音も。

先ほど古泉が視線を向けていた方だが、かといってそちらに視線をそらすわけにはいかない。
盤面の戦局はほぼ決まりきったようなものだが、いやいや、それでも油断はできない。
たとえ玉将を守る牙城が崩れようと、今の俺には引けない理由があるのだ。
男の子の意地だとか、サディスト的喜びだとか、詰将棋を楽しむのに似た理知的な探究心だとか、えーと、他にも色々が。

だからそう、これはさっきの言葉に対する時間稼ぎでも何でもなく、一切の余裕と慢心を排除した自己研鑽にも似たもっと高尚に哲学的なプロセスであって――



「なによ、あとちょっともなにも、ここに打っちゃえばそれで終わりじゃない」


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