過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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143:名無しNIPPER[saga]
2015/01/12(月) 21:13:14.53 ID:pkf2ayLi0
母「出来るはずなのよ」

勇者「はあ? だから…!!」

母「あなたなら世界を救うことが出来るはずなのよ。だってあなたはあの人の息子なんだから」

 勇者は言葉に詰まった。
 何か異様な雰囲気を母の様子から感じ取ったからだ。

母「あの人の血を継いだ者ならば、それぐらいのことは当然に出来るはずなの。『伝説の勇者』様の血筋は、それ程に高貴で他に代えがたいもの……」

勇者「は…?」

母「それが出来ないということは、つまりはあの人の血が劣化してしまったということ。それはつまり、私の血が混じることであの人の血筋を劣化させてしまったということ。その時は、私は責任を取らなくてはならない」

 勇者は絶句した。
 母の言葉はまともな人間のものであるとは思えなかった。
 息も絶え絶えに、勇者はようやくのことで口を開く。

勇者「せ、責任って…?」

母「命をもって贖うわ。もっともそれで償いきれる罪ではないけれど」

 決定的だった。

勇者「ふひ…」

 不意に笑みが込み上げてきた。
 同時に涙も込み上げてきた。

母「勇者、あらためて問うわ。あなたは、魔王を倒すことを諦めたの?」

 事ここに至り、ようやく勇者は確信した。
 ああ―――そうなのか、と。



 自分には、『伝説の勇者の息子』であること以外に価値は無いのだと。

 いや、もっとわかりやすく言い換えよう。


 『伝説の勇者の息子』として生きること以外を、俺は求められていないんだ―――――と。






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