過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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171:名無しNIPPER[saga]
2015/02/01(日) 20:25:10.65 ID:pWickg4a0
 三人の故郷―――『始まりの国』

武道家「馬鹿な…勇者が来ていないだと!?」

神官「え、ええ。間違いなく、来ておりません」

武道家「馬鹿な!? ならば勇者はどこへ飛んだというのだ!?」

神官「少なくとも、『伝説の勇者』様のご子息がご帰還されれば、それは間違いなく町の噂となるはず。故に、勇者様はこの国にお戻りになっていないと考えるのが自然です」

武道家「……戦士! 勇者が『翼竜の羽』で飛んだのは間違いないんだな!?」

戦士「……そのはずだ。『翼竜の羽』以外に勇者があの場所から飛翔できる術なんてない」

武道家「ならば、何故どの町にも勇者の姿がないんだ……くそ!」ダッ!

僧侶「武道家さん! どこへ!?」

武道家「勇者の家だ!!」


 ――『勇者の家』の前

武道家「……」トボトボ…

僧侶「武道家さん、どうでしたか?」

武道家「勇者の母親に会った。やはり勇者は戻ってきていないと言われたよ」

武道家「どういうことだ…? 『翼竜の羽』は一度訪れた場所にしか飛べない、それは間違いないはず……」

武道家「町に戻るために使ったのではないのか…? であれば、戦闘から一時離脱するために…? 『翼竜の羽』にそんな使い方が可能なのか…?」

 確かなことは勇者が翼竜の羽を使用したこと。
 そしてどの町にも勇者は飛んできていないこと。
 つまり勇者は自分たちには思いもよらぬ使い方をして戦闘を離脱した。
 そこには自分たちには想像もつかぬ意図がある。
 そうに違いないのだ。

戦士「……」ザッ…

武道家「戦士、どこへ行く?」

戦士「酒場へ。新たな仲間を探しに」

武道家「……ッ!! 戦士!!」

戦士「私たちと違ってアンタは勇者と付き合いが深い。だから、アイツのことを最後まで信じたい気持ちは理解できるけど……」

戦士「私には、勇者は無我夢中で行き先のイメージもしないまま『翼竜の羽』を使用し、結果どことも知れないところへ飛ばされた……そう考えた方がしっくり来るんだ」

武道家「……ッ!? そんな…お、お前もそう思うのか、僧侶!?」

僧侶「そ、それは、その……」

 僧侶は否定も肯定もせず、曖昧に言葉を濁した。
 だが、その態度こそが彼女の答えを言葉以上に雄弁に語っていた。

武道家「違う…それは違う……」

 武道家は立ち尽くす。
 戦士はそんな武道家を一瞥し、酒場へと足を向けた。
 僧侶はおろおろと二人の間で視線を彷徨わせていたが――やがて戦士の後についていった。



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