過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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948:名無しNIPPER[saga]
2016/01/24(日) 13:25:46.73 ID:Hj2+wdvc0
騎士「王国最強の剣士の跡継ぎとして生まれた俺は、2歳になった時にはもう剣を握らされていた。4歳になった時には木剣で打ちのめされていた。タメ年の奴らが集まってチャンバラごっこしてんのを横目に見ながら、俺は真剣で親父と打ち合っていた」

騎士「普通の奴らが親から魔物について講義を受けている時、俺はもう魔物の討伐に付き合わされてた。10歳になるまでに何度死にかけたかわからねえ。俺の体はおぞましい程傷だらけになって、そんな俺の体を見て家族は誇らしいと笑っていた」

騎士「何もかも面倒くさくなって、魔物の牙にわざと身を晒したこともある。だけど頼んでもいないのに特別手厚く治療され、死ぬことは出来なかった。自分のせいで治療が後回しになって死んだ誰かが居ると知って、わざと死のうとするのはやめた」

騎士「15になって、同年代の奴らも剣を持ち出したけど、当然ながら俺の強さはその中でも図抜けていた。周りの奴らは『流石、あのお方の息子だ』とか、『才能が違う、選ばれし者だ』なんて言って俺を羨み、嫉み、妬んだ。うるせえってんだよ。俺がどんだけ剣を振ってきたと思ってんだ。なあ?」

騎士「幼い頃は親父の威光なんてものに疎かったけど、15にもなりゃその辺のことも分かってきて、好き放題やりだした。俺にはその権利があると思った。だけど一個も面白くなかった。親父の名前で態度を変える連中が気持ち悪くて仕方なかった」

騎士「『偉大な男』の息子だってだけで簡単に体を許す女どもが頭空っぽのカスにしか思えなかった。俺という人間を全く知らないままに、『偉大な男』の息子っていうフィルタだけで無条件に俺に好意を寄せてくる奴らの浅はかさに辟易した」

騎士「こいつらは『俺』の事なんて見ちゃいない。たとえ俺がどんな人間であっても、あの男の息子ってだけで一定の評価を与えるだろう。じゃあ俺って何なんだ? 俺には『あいつの息子』ってこと以外に価値はないのか? じゃあそれは俺じゃなくてもいいんじゃないのか?」

騎士「俺って人間は――――実はいらないんじゃないか?」


騎士「いいさ―――――お前らが俺をいらないって言うんなら、俺だってお前らなんていらねえよ―――――そうやって、俺はあいつらを見限った」




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