過去ログ - 吹雪青葉古鷹「「「……邪魔」」」提督「っ!?」
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3: ◆UeZ8dRl.OE[saga sage]
2014/11/04(火) 21:22:14.29 ID:MQxfXC0v0
 執務室に、四つのペンの音だけが響く。他に聞こえるのは、紙を捲る音か椅子が軋む音ぐらいのものだ。
 この空間を何かに例えるならば、締め切り前の漫画家の部屋、というのが一番しっくりくるかもしれない。

(……息が詰まる。何で三人とも一言も話さないんだ? 普通年頃の女の子が三人も居たら会話に花咲かせるものだろ。三人が艦娘だからか? いやいや、姉妹艦と楽しそうに話しているのは良く見かける。ということは、俺が居るから話さない……?)

 行き着いた結論に、提督の胃がキリリと痛む。
 “艦娘とは、艦であると同時に女性として扱うべき存在だ”。そう教えられてきたが故に、彼はセクハラにならないよう、細心の注意を払って彼女達と接してきた。
 しかし、現状を鑑みるに彼は何か失敗しているのだ。そうでなければ、かれこれ一時間近く会話が発生しないなどということはあり得ない。

(待てよ、彼女達が不仲だということも……いや、昼食や夕食も一緒に食べている姿を何度も見ているし、その可能性は低い。過去には色々あったようだが、そこについてはもう和解済みだとも言っていた。ならばやはり俺が原因ということに……)

 今の季節は秋、気温は過ごしやすくちょうどいい。しかし、提督の全身には嫌な汗がジットリと浮かんでいた。
 彼の頭に浮かぶのは“憲兵”の二文字。もし、ここに居る三人が口裏を合わせてセクハラを受けたと言えば、その時点で全てが終わる。
 中には艦娘を快く思わない軍幹部も居るが、そんな相手との繋がりは彼に無い。

(どうするどうする提督になれて艦娘とはいえ見目麗しい子達と共に世界平和の為に尽力出来る最高の環境だと思っていたのにこれじゃ針の筵じゃないか戦果は十分挙げてるし中佐まで登り詰めたのにこんなところで俺は終わるのか!?)

 規則的に響き続けるペンの音が、余計に彼の心を不安で埋めていく。
 今、彼女達から一言でも言葉を投げ掛けられたなら、彼は提督としての立場など忘れて反射的に土下座してしまうだろう。




 ――しかし、これはあくまで提督の視点から見た話である。


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