4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/05(水) 20:07:09.66 ID:7XpzpOnTO
彼女は何者だったのだろう。
僕には分からない。
手紙の告白は何の答えにもなっていない。
僕が彼女に抱いた最初の印象はあまり良くなかったと思う。
彼女もきっとそうだろう。
彼女は何だかつまらなそうな表情で僕を見ていたから。
彼女と親しくなったのは偶然であった。
大学の食堂や図書館の席が混んでいて相席したり、一般教養科目の講義で席が近かったりして話すようになった。
話す内容は下らないことばかりで、聞いた先から忘れていきそうなゴシップじみた話や趣味の話、僕のどうでもいいような過去の失敗談など。
また僕はノートをまとめるのが苦手だからよく彼女のノートを見せてもらうこともあった。
彼女は癖字だけどノートをまとめるのが上手だった。
「臆病だね」
ある時彼女は僕にそう言った。
あの時は、彼女が財布を忘れたから僕がジュースを買ってあげて、ついでに近くの公園のベンチで話をしていた時だ。
それは確かに覚えている。
「臆病に見える……」
「だって、いつも作ったような笑いを顔に貼り付けてる。
それって他人が怖いからこびへつらっているんでしょ……。
正直言って、見ていて不快」
感情を押し殺した様子で、だからこそ迫真を持った彼女の言葉が今でも耳に残響する。
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