過去ログ - 京太郎「修羅場ラヴァーズ」 淡「あーいらーぶゆー」
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◆fUP.t6E/JbsR
[saga]
2014/11/09(日) 22:30:35.71 ID:8eL6Vk77O
「……良い目をするようになったけど、まだ殻がついているね」
「……カラ?」
曰く、人は殻や錆がついていく。
自分には無理、失敗するからやりたくない、面倒くさい。
そういった虚仮や見栄の殻。
「確かに、壁はあるよ。努力じゃ消えない壁ってのは」
「……」
「でもね――」
凡人でも、殻を破って進むものはいる。
錆を落とした下から見えるのは、ギラついた勝利への渇望。
アレクサンドラが求めるのは、そういったモノ。
その中でもより一際、強い輝きを放つものにこそ――彼女は、揺さぶられるのだ。
「……君の目の奥。私はそこに、『何か』を感じたんだ」
「……え?」
「君は君らしくあればいい……でも、私は君が殻を破って進めるヒトであることを願う」
そして、その手伝いをすることも吝かではない。
そういい残すと、彼女は席を立って部屋の外へ出て行った。
「……」
自分は、どうするべきか。
答えは未だに出ないが――一歩だけ、前に進めた気がした。
「ん?」
と、ここである事に気付く。
アレクサンドラの座っていた椅子が、微かに湿っている。
さっき紙コップを落とした時に、中身を零してしまったのだろう。
今日は珍しいことが多いと、京太郎はハンカチで椅子を拭った。
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