23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/08(土) 21:15:43.48 ID:VTRo6hkco
あいつはそれまでずっと俯いて、海面というか、深海を見ていたんだろうな
鬼と見紛う程の怨念を纏う奴だ、先手必勝しかないと思って除霊の準備を始めたんだ
そしたら急にこっちを向いてな、あいつと目が合っちまった
背筋が凍るような気分だったよ、情けないことに指一本すら動かせなかった
数秒か数分か、じっとこっちを見てたあいつがな、うっすらと笑ったんだ
それから先は一瞬だったよ、いきなり主砲を構えてズドンだ
漁船に武装なんてあるわけないし、未熟な俺には何もできなくてな
近付いたら物理的に攻撃されるんだ、除霊どころじゃなかった
それで結局何も出来なくて、なすがままに船がボロボロにな
砲弾の威力で俺も吹っ飛ばされて海に落ちたんだ
泳いで帰れるような距離でもなかったし、激しい波に揉まれて、そのまま気を失っていったよ
薄れていく意識の中でな、あいつの方を見たら、笑ってたんだよ
大声出してな、楽しそうに、狂ってるみたいだった
そんな笑い声が俺には、泣き叫ぶような、断末魔のように聞こえて仕方なかった、今でも耳にこびりついてるよ
その声をずっと聞きながら、俺は海に沈んでいったんだ
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