過去ログ - 木星解体新書(著者:善澤)
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26: ◆kJCYUAYHzQ[saga]
2014/11/10(月) 23:29:34.07 ID:KPP3DHuJO
黒井「……一度しか言わないからよく聞いておけよ」

冬馬「……ああ」

黒井「……私はお前たち3人をスカウトした時から確かな実力を感じていた」

黒井「ピリピリと、この肌で感じたのだよ……お前たちが放つ王者の風格をな」

黒井「だから私はお前たちを精一杯育てた。最高のトレーナーに最高の設備を用意して、ダイヤモンドの原石を磨くように、丁寧に丁寧にお前たちを磨き上げた」

黒井「……そしてもう十分だろうと判断した私はお前たちをデビューさせた」

黒井「するとお前たちは新人にも関わらず飛ぶように売れ、たった1ヶ月でトップアイドルに成り上がってしまった」

黒井「……そのまま売り出し続ければよかったものを、愚かな私は活動を始めた765プロを潰すことに躍起になってしまったせいでお前たちの道を阻んでしまった」

黒井「更なる高みへの、輝かしい栄光の道をな」

黒井「……私は悔しかった。たった一時の感情で才能あるお前たちを駄目にしてしまったのだから。せっかくのダイヤモンドを割ってしまったのだから」

黒井「何故私はあのような愚かなことをしたのだ? 何故今まで真面目に頑張ってきた私は不正を働いたのだ? 何故私は才能の塊であるジュピターをゴミにしてしまったのだ? ……私は悩みに悩んだ」

黒井「そんな時、ブラックウェルだとかいうアホ会社の社長に濡れ衣の罪を着せられそうにはなったものの、765プロの財産が計画倒産によって喪失した、という話を聞いていい気味だと笑ってやったが……やはり私の胸は晴れることがなかった」

黒井「では今の、今までの私に足りないピースはなんだったのだ? 私は今までで一番と胸を張って言えそうなほど考えた。考え詰めた」

黒井「……そして気づいたのだよ。私に足りないピースが」

黒井「それは信用しあえる関係、つまり仲間だ。私が今まで孤高であろうとしてきたが故に足りなかったピース、私が毛嫌ってきた高木が持ち得たピース。それが仲間だ」

黒井「ああわかっている。仲間などという甘っちょろい馴れ合いには反吐が出る。今でも高木に並んで私の一番嫌いなものランキング1位だ」

黒井「……が、よくよく考えればお前たちジュピターはユニット、つまり仲間ではなかったか? お前たちをプロデュースしていた私、私にプロデュースされていたお前たち……これも一種の仲間ではないのか、と私は考えついた」

黒井「……私は自分の愚かさに吐き気がした。仲間を切り捨ててきた癖に知らず知らずのうちに仲間などという関係を築いていただと……? ああ、あの時の私はどれほど愚かに見えたのだろうか。私は言動と行動が大きく食い違っているピエロだった。無様にも滑稽な踊りを周囲に撒き散らしていたのだ」

黒井「……だが、孤高を貫くが故に頂点に立てなくなる……というのはもっと滑稽だ。その事実は、常に頂点を目指し続けてきた私には許せなかった」

黒井「だから私は、仲間という概念を取り入れることにした」

黒井「私が一番嫌いな高木が重視する仲間。本当はそんなもの突っぱねてやりたいものなのだが……真の王者は自分の苦手なものさえ取り込んで強くなるものだと、私自身で納得させた」


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