過去ログ - 「眠り姫 the sleeping be@uty」 -SS速報VIP

過去ログ - 「眠り姫 the sleeping be@uty」

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1: ◆bA3jMfAQJs[sage]
2014/11/16(日) 23:08:46.54 ID:YfSYHa8p0

注意

・劇場版アイドルマスター輝きの向こう側へ、の嘘予告映画をSSにしてみました。
　同様のSSが書かれていましたが、とりあえず投下していきます。

・地の文たんまりで長いです。

・入場者特典であった設定資料集は手に入れてないので全くわかんないです。
　なのでその辺りぶっちぎって作ってあります。設定厳守の人は見ないほうがいいかもです。

・映像のみを見て考えた大量のオリジナル設定がある上に暗い内容となっていますので、ご容赦下さい。

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2:</b> ◇bA3jMfAQJs<b>[saga]
2014/11/16(日) 23:13:28.26 ID:YfSYHa8p0
　プロローグ

　彼女は息継ぎをしながら、一つのマイクを掴んでいた。

身長は平均的な女の子と同等。その肩まで伸びた艶やかな茶髪と、頭頂部に取り付けた二つのリボンが印象強い少女。

3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/11/16(日) 23:13:49.43 ID:2K7m+7dl0
だから設定資料集じゃなくてビジュアルブックだって
何の設定も乗ってなくて背景とかが載ってるだけなんだって

4: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:16:54.36 ID:YfSYHa8p0

「ハニーを盗ったんだ。春香が」
「違う！　プロデューサーさんは自らの意思で私を！」
「一緒の事だよ。ハニーは美希を選ばなかった」
「だから殺したの!?　自分の物にならないからって――あの人が育ててくれた、その【アイドル】としての【力】で！」

5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/11/16(日) 23:18:20.68 ID:yvfm6wBRo
期待

6: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:18:57.74 ID:YfSYHa8p0

貴音と呼ばれた少女は、その麗しい銀髪をなびかせながら、両手に一本ずつ、マイクを掴んでいた。

「美希。旧友としてのお願いです。抵抗をしないでくださいまし」
「無理だよ。貴音だって自分が愛した人を盗られたら、嫌に違いないの」

7: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:20:21.07 ID:YfSYHa8p0

「亜美、真美――邪魔を、しないでほしいの」
　亜美と真美と呼ばれた少女――右頭部に髪をまとめた方が亜美、左頭部に髪をまとめた方が真美であり、二人は美希と級友であった。
　もちろん――貴音も。

8: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:22:35.11 ID:YfSYHa8p0

「甘いよ」

　真美の剣を捌いた後、貴音へと駆けた亜美を、美希の鎌が貫いた。
　鎌によって胸元を貫かれた亜美の柔肌から、血が溢れ出る。その光景を、貴音は目を見開いて眺める事しか出来なかった。

9: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:24:43.48 ID:YfSYHa8p0

「……こんな所かな」
「美希、貴方は……貴方と言う方は……っ」
「ふふ。貴音、今ミキと同じ顔してる」

10: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:27:03.62 ID:YfSYHa8p0

　豪炎が、美希に襲い掛かるが、それを避けようとも、払おうともしない美希。
　ただ豪炎の中を、ゆっくり、一歩一歩、歩いている。
　信じられない、と言った面持ちで貴音がそれを見据えていると、律子も表情を険しくさせた。

11: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:29:14.38 ID:YfSYHa8p0

　それが律子の、最後の言葉。

貴音は、律子が亡くなったと悟った時には、亜美真美の時に感じた憤りを、美希に感じなくなっている事を、どこか恐怖していた。

12: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:30:22.33 ID:YfSYHa8p0

瞬間、扉は固く閉ざされ、中からは誰も開けられぬようになった。

美希は、その扉の中で、何を考え、何をしながらこれから過ごすのだろう。

13: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:33:49.31 ID:YfSYHa8p0

木製の机に本を乗せ、少女がぺらぺらと紙をめくっていく。青色のロングヘアを伸ばした細くも綺麗な瞳をした少女だ。
慎ましくも整った体系と、その物静かな印象が、どこか文学少女のようにも見える。

少女――如月千早は、少しだけ冷めた表情で本の内容を見返し、最後には一人の女性に視線を向けた。

14: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:35:22.60 ID:YfSYHa8p0

　千早は立ち上がって、窓に手をかけ、開けた。
　気持ちの良い風が入り込む。ロングヘアを揺れ動かす風を受け、千早は少しだけ髪を整えた。
その姿に、一瞬だけ伊織が見惚れていた事は、その場に居た誰もが察していた事だろう。

15: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:37:20.68 ID:YfSYHa8p0

如月千早は、校舎から少し離れた場所にある、桜の木に腰を落とした。先ほどまで読んでいた本をもう一度熟読する。
気に入ったからでは無い。喉を休める為に、やる事が無いからだ。

ぺら、ぺら、と、紙の捲る音と木々の騒めきしか聞こえてこない。もう少し周りが静かならば、心臓の音まで聞こえそうな程だった。

16: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:42:16.22 ID:YfSYHa8p0

第一章

アイドル養成教育機関【765プロダクション】の朝は、早朝七時半から始まる。

17: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:43:25.19 ID:YfSYHa8p0

聖歌を歌い終わると、今度は座学の時間がやってくる。

「座学とは言っても、難しい事は何らありません。最初に少しだけお勉強をして、後はその力の使い方を体で覚えるしかないのです」

18: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:45:39.45 ID:YfSYHa8p0

実技の授業がやってくる。
　授業としてはこちらが本流で、千早は少しだけ億劫になりながら、校庭へ出た。
草原が広がる校庭で、律子が杖を一つ掲げて、その先端から一つの炎を生み出した。

19: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:48:08.79 ID:YfSYHa8p0

そのヴィジュアルの授業を行っている所で、お昼休憩の時間がやってきた。
食堂から持って来た昼食と、そのティーセットを浮かしながら、律子が「皆さんも浮きながら、食事をしましょう」と提案した。

浮く――重力に縛られる人間に向けて何とも難しい事を言う物だと思いながらも、千早は少しだけ喉に力を込めて、そして腹部にも力を込めて、それを顕現した。

20: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:50:10.22 ID:YfSYHa8p0

アイドルとしての知識を学ぶ時間は、お昼までである。それから夜までは、各々好きな事をして過ごすのだ。

千早はその時間を、桜の木の下で過ごす事が好きだった。
　桜の木の下で横たわりながら、木々の音を聞きながら眠る――その時間が、彼女は大好きなのだ。

21: ◆bA3jMfAQJs[saga]
2014/11/16(日) 23:54:29.74 ID:YfSYHa8p0

三時のお菓子。その時間に千早が教室に戻ると、教卓には一つの瓶が立っていて、その瓶には固く蓋が閉じられていた。

「何をしているの？」
「あ、千早。今からちょっとした勉強をするんだ」

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