過去ログ - 摩耶「あたしが手にする『自由』」提督「俺が与える『自由』」
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314: ◆vkHTV4M25U[sage saga]
2015/02/20(金) 01:44:49.60 ID:/jFv2HVR0

 すでに水柱は収まり、墜落した艦載機が上げる煙で遮られていた視界も戻りかけていた。爆発で降った雨が、火の勢いを弱めたのだろう。薄い灰色の視界の中に、肝心のチェシャ猫の影は見えない。

蒼龍「……」

 障壁を持っておらず、爆発四散でもしたか。いや、爆発に紛れて姿を眩ませたとも考えられる。

 後者の選択を重視して、蒼龍は目を巡らせた。油断なく弓を構えて、チェシャ猫の姿を探す。姿を捉えた瞬間に矢を放てるように。

蒼龍(いない……)

 しばらく探したが見つからない。

蒼龍(もしかして、倒した? いや、でも……)

 嫌な感じが消えない。どうしても、倒せたような気がしないのだ。鈴谷と瑞鳳を片付ける程の敵が、この程度であっさり死ぬタマか。

 蒼龍も、そして摩耶も、知らなかった。

 チェシャ猫が、鈴谷に近接した方法を。

蒼龍(——?)

 唐突に、何か冷たいものが背中を這う感覚が襲った。風だろうか、と蒼龍は思った。しかし、二つ結びにした髪が揺れない。

 蒼龍がその正体に気付くより先に、ガチャリと鉄が擦れる音が背後から聞こえた。その音は耳に蛸ができるほど聞いてきたものだ。連装砲を構える時になる、独特な音。摩耶が、連装砲を構えたのだ。

 敵を見つけたのか? 一瞬そう思った蒼龍は、そこで気付いた。

 自分の胸元を這う、死人のような白い腕に——。

チェシャ猫「ツカマエタッ」



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