過去ログ - 阿良々木暦「こよみヒストリー」
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9: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/11/21(金) 22:04:45.80 ID:kVCj7/h70



006



「あら、お帰りなさい暦」

家に帰ると、エプロン姿のひたぎが迎えてくれた。

実家暮らしの時は実感のなかった感慨ではあるが、家に帰って誰かが迎えてくれるというのは素晴らしい。
今度、実家に帰った時は火憐ちゃんと月火ちゃんに少し優しくしてやろう。

「ごはんにする?うどんにする?それともパスタ?」

いずれにせよ炭水化物は免れないようだった。

余談ではあるが、ひたぎは料理が上手い方だと思う。
が、手を抜く傾向にあるのだ。
その時は大体、今日のように茹でてチンして完了の麺類志向になる。
本人曰く『毎日ご飯が美味しかったら増えちゃうじゃない』との事だが。
料理が美味すぎるのも良くない、という主張をする点では非常にひたぎらしいのだが……。

……と、今日はパスタにしようかなと思っていると、食卓に並ぶのは白飯、パスタ、うどん。
しかも二人が食べる量ではない。
あらゆる種類を網羅したその様子は、知らぬ人が見たらビュッフェかと見紛うほどの量だ。

「今日はごちそうなのよ」

ごちそうはいいけれど、なんで全部主食なんだよ。

「いいことがありました。聞いて頂戴」

珍しくかなり上機嫌なひたぎさんであった。

僕が何だ、と問うとすっと眼を細めて笑う。

僕が一番好きな、ひたぎの笑顔。

「子供が出来たの」

子供?

子供って、あの子供?

「暦との愛の結晶よ」

その時ばかりは、僕もあまりの嬉しさに記憶が薄い。

僕にも人並の幸せを手に入れられることは、この時は確かに出来たと思ったのだ。





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