過去ログ - 男「いらっしゃいませー」
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2014/11/24(月) 20:49:41.47 ID:TJxmg7UW0
【今日のおすすめ ブッフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み)】

男「二人ともお疲れさん、もうちょっとで店閉めるから上がっていいぞ」

青年「よっしゃ!」

女「いえ、まだ頑張りますよ!」

男「そーかそーか、ありがとうな!!」チラ

青年「……分かったっすよ、最後まで働きますよ」

男「おう、残ってる皿洗っといてくれ」ニヤ

カランカラーン

女「いらっしゃいませー!」

令嬢「一名です」

女「はい、お席にご案内します!」

令嬢「ブッフ・ブルギニョンを一つ」

女「かしこまりました、ブッフ・ブルギニョン一人前です!」

男「はいよー」

男(うわ、最後の味がよく染みた一個を……羨ましい!)

男「上がった!」

女「お待たせいたしました、ブッフ・ブルギニョンです」コト

令嬢(……素晴らしい香り)

令嬢「いただきます」

男(育ちが良さそうな人だな)

令嬢「……絶品ですね」

令嬢(牛肉の煮込み加減が絶妙ですね、煮崩れないギリギリの火入れ)

令嬢(スプーンで簡単にほぐれて、とろとろのゼラチン質と赤身の旨み、デミグラスソースが混ざり合って……)

令嬢(付け合せのマッシュポテト、レモンを絞ってオーブンで焼いたアスパラも素晴らしい出来です)

令嬢(……私が求めていたのは、こんな味!)

令嬢「主人、まだお若いですが……私の所で働く気はありませんか?」スッ

男(……うわ、超金持ちの実業家の娘さんじゃねーか! お抱えの料理人になれって事だな)

女(店長、何て答えるんだろ……)

青年(旦那……)

男「お断りします」

令嬢「……理由を聞いても良いかしら?」

男「俺は、この小さな店で、自分の信念に基づいて、お客様のために料理を作っています」

男「ずっと誰か一人のためだけに作るのは、俺の料理じゃないんです」

令嬢「そうですか……」

令嬢「……すごく美味しかったです、無理を言って失礼しました」

令嬢「また、来させていただきますね?」ニコ

男「ええ、待ってますよ」

カランカラーン

青年「……さっきの旦那、すげぇかっこよかったっすよ」

男「別に……、ほら、さっさと皿片づけろ!」


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