57:名無しNIPPER[saga]
2014/12/30(火) 21:42:40.62 ID:TR+lVjWw0
男(ったく、やっと年が明けたっていうのに、小雨が降ってやがる)
男(川の神様に願っとけば良かったかな)
女「おはようございまーす! 新年、明けましておめでとうございます!」バン
青年「あけおめー」
男「おう、今年もよろしくな」パタパタ
青年「こ、この香りは……まさか……」
女「鼻をくすぐる素晴らしい香り……もしかして……」
男「そう、――鰻だ!」
青年「おおぅ……」ジュルリ
女「今日のおすすめは鰻ですか」ゴクッ
男「ん、違うよ? 俺の自腹で買った奴」
青年「え?」
女「?」
男「まぁ座りたまえ」
青年「あ、はい」スッ
女「どうしたんですか?」
男「えー、今までよく働いてくれた」
青年「どうしたんすか? 店閉めるみたいな言い方して」
男「青年、女。お前らが来てくれたおかげで、この「雨上がり」も随分と繁盛するようになった」
女「えへへ……そんな事ないですよ」
男「――本当にありがとう。小さいが、これは俺の感謝の印だ」コト
青年「う……うな丼……!?」
男「さぁ、喰ってくれ! 心を込めて作った!」
女「いただいて良いんですか?」オズオズ
青年「先にいただくよっと……うっめええええぇぇぇ!!」
青年(鼻を突きぬける、本能を刺激するかのような強烈な香りっ!)
女「おいしーっ!!」ニコ
青年(ほくほくの身は、口に入れると、甘い脂がとろりと溶ける!)
青年(それに、甘辛いだけじゃなくて、白ごまが忍ばされた特製のタレ! こいつも良い仕事をしてやがる!)
男「……」ニコニコ
女「ご馳走様でした! すっごく美味しかったですよ!」
青年「うまかったっす!」
男「おう! それじゃ……店、開けるか」
女「はい! ……あ、店長!! 窓見てください!!」
青年「いつの間に晴れたんだか……でも、すげえ……」
男「ん? おぉ――虹だ!!」
雨が降る町に、ぽつりと存在する「飯屋 雨上がり」。
光を浴びて輝く虹を背に、常連客は、今日も扉を開ける――
カランカラーン
「いらっしゃいませ!!」
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