過去ログ - 【艦娘による不審船への対応案件】長良「停船セヨ」五十鈴「立チ入リ検査ヲ実施スル」
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21: ◆T7uO1oLoAM[age]
2014/11/23(日) 21:53:04.57 ID:084IZWFd0

 漁船はエンジンが停止した後も、しばらくは動いていた。
 長良と五十鈴は漁船と並走した。するとその姿がはっきりと見えてくる。
 潮風に曝されてくすんだ船体――その至るところに、無数の弾痕が穿たれている。
 船尾の対空機関砲はひしゃげて壊れ、辺りで引火した砲弾が煙を上げていた。操作員は間一髪で逃れたのだろうか、その姿は見えない。

「もう大人しく投降しなさーい!逃げ場はないわよー!」

 長良は灯りを落したブリッジに向かって叫んだ。
 その声が静まり返った海に反響する。
 海保が突入するまで注意を引くためだったが、なるべくなら殺生は避けたいとも彼女は考えていた。彼らは法で裁かれるべきだ。

「答えないわね…。日本語が分からないのかしら」
「それはないんじゃないかしら。…相手はプロの工作員よ。多分、投降するか決めかねてるんだと思う」

 苦い顔で五十鈴は言った。
 彼女も長良と同じ思いだった。
 海の平和を乱したのは許される行為ではないが、それに対して怒りは覚えなかった。
 自分たちは"日本と海"を護るために存在している。――故にその砲身を、怒りや憎しみで向けてはならないのだ。
 遠くからヘリのローター音が聞こえた。海保の部隊がやって来たようだった。

「…取り敢えず、制圧は海保に任せて…私達はここで援護しましょう」
「えぇ、了解よ」



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