過去ログ - 【艦娘による不審船への対応案件】長良「停船セヨ」五十鈴「立チ入リ検査ヲ実施スル」
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28: ◆T7uO1oLoAM[age]
2014/11/23(日) 21:58:29.31 ID:084IZWFd0

 五十鈴は顔を上げる。
 大勢の少女が船倉で身を寄せ合っていた。外見は五十鈴と同じくらいで、年端もいかない少女ばかりだ。彼女達は痩せ細り、怯えた瞳を向けている。
 その光景に五十鈴は絶句した。
 ――どうして…こんな若い子達が、不審船に?
 だが考えるのは後だ。五十鈴は立ち上がると彼女達に歩み寄った。

「助けに来たわ!すぐにここから、出ましょう!」

 五十鈴が"脱出しよう――"とハッチを指差すと、少女達は顔を見合わせる。
 通じていないのか、それとも信じていいのか迷っているのか。
 どちらにせよ時間がない。その手を掴もうとした時、耳をつんざくような爆音が轟いた。
 船内が揺れて悲鳴が上がる。視界が逆さまになると、五十鈴と少女達は天井に叩きつけられた。

「みんな大丈夫?! 姉さん、なにが起こったの?!」
「燃料の誘爆で転覆したわ!五十鈴、早く脱出して!」

 ハッチを見た。その向こうは激しく炎上している。大勢で抜けられそうにはなかった。
 五十鈴は辺りを見渡した。逆さまになった天井には、積み下ろし用の大型ハッチがある。
 だが海中に面したせいでビクともしなかった。
 閉じ込められた。
 五十鈴は奥歯を噛んだ。主砲で船体を撃ち破ることもできる。だがそれはしたくなかった。
 ここで主砲を放てば、船体を破壊したとしても少女達は無事では済まない。主砲弾は強力だ。生身の人間では、その破片と衝撃波には耐えられないだろう。
 後ろで少女が泣いている。五十鈴は焦りを滲ませた。何か、何か手はないのだろうか―――



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